翌日、キヨタカは大きな荷物を持ってタマキの独房にやって来た。

「おはようタマキ、話す気になったか?」

優しい声色で昨日と同じように屈んでじっと目を合わせてくる。
大きな手が髪を撫で、その流れで顔の輪郭をなぞった。
それだけでタマキは腰を小さくくねらせた。
中途半端に熱を持たされたまま一夜を過ごしたせいで、普段以上に敏感になっていたのだ。
顎まで降ろしたところでひこうとした指を無意識のうちにくわえてしまった。
キヨタカは涼しい目でその様子を眺めている。

「・・・抱いてくれたら、話してやるよ」
「そんなおねだりではやれないな」

精一杯の虚勢を張ってみてもキヨタカには通用しない。
優位に立とうとしても、すぐに立場を逆転されてしまう。
顎に手を添えられて、至近距離で見つめられる。
この男には逆らえない。直感でそう思った。

「全部話す、話すから抱いてくれ」
「だめだ」

懇願するように見上げてもキヨタカは笑顔を崩さずに否定した。
なのに指はゆるりと服の上から太股を伝うのだ。

「・・・抱いて下さ、いっ」

太股を伝う指がいたずらにやんわりと主張するそれに触れた。
それだけの刺激に身体がびくんと大きく跳ねる。
身体が急速に熱を帯びるのがわかった。
最早恥ずかしさなんて感じていられない。
それを見て楽しそうに笑ったキヨタカの目はひどく冷たかった。

「お願いしますは?」
「抱いて下さい、お願いします・・・」

ようやくキヨタカが満足そうに微笑んだ。
同時にズボンを下着ごとはがれた。
独房のひんやりとした空気に触れてぴくりと震える。

「アイツにどんな風に抱かれたんだ?」
「え・・・・っあ、ん」

優しい声色と反するように自身に触れる手は激しい。
久し振りの強過ぎる刺激にあっという間に達してしまった。

「早いし濃いな」

白濁にまみれた指にわざと舌を見せるように舐めとる。
ねっとりと舐める舌の動きに目が釘付けになってしまう。

「まだまだって顔だな」

たった今達したばかりだというのにもう元気を取り戻したそこを見てキヨタカが楽しそうに笑う。
しかし次の一言はまるで人が違うかのように冷酷な響きを持っていた。

「でもしばらくはイクなよ」

俺も楽しませろよ。
キヨタカはそう付け加えるとシャツを開けさせた。
触っていないのに少し熟れている胸の飾りを指で弾いた。

「んあっ・・・!」
「こういうのも感じるのか?」

次に指でくにくにと激しくこねられる。
痛いはずなのに口から出るのは喘ぎ声ばかりだ。
両方を同時に強く摘まれて一際高い声を上げた。

「痛いのも感じる程に調教されてるのか」
「あっ、はぁ・・・っ」

キヨタカが何か言っているがそれも聞こえない。
胸元に顔が近付いてきて、一度見上げてから見せ付けるようにそこに舌を這わせた。
ぴちゃぴちゃと卑猥な音と喘ぎ声だけが静かな室内に響く。
さっき達したそれは蜜を垂らし、痛いくらいに張り詰めている。
舌と指の愛撫に悶えていると、突然後ろに冷たい感触がして身体を固くした。
そんな様子にキヨタカが顔を離して薄く笑う。

「こういうのは好きじゃないのか?」

無機質な機械音が聞こえると同時に後ろに宛てがわれたものが動き始めた。
それが何かが分かったけれどタマキはどうすることも出来ない。
中に入れる訳でもなく入口だけを刺激するそれに、タマキは無意識のうちに腰を揺らしてしまった。

「はっ・・・んっ」
「気に入ったみたいだな」

キヨタカはそう言うとタマキに宛てがっていたものを前触れもなく中に押し込んだ。
少しも慣らしていないそこに、質量を持ったそれが入り込んで来て涙が出てくるがキヨタカは気にする様子もない。
けれどタマキは痛さの中に確かに快感を見出だしていた。
出し入れの度に最奥を突かれる。
いつの間にか痛みなんて消えていた。
足を持ち上げられて自分の中に埋まっていくそれを見せられても興奮してしまう。
軽蔑するように囁かれた言葉すら煽られてしまう。

「前、さわって・・・」
「ダメだ」

それでも懇願するように見上げるとキヨタカがフッと口元を緩めた。
そして自分の首にあるネクタイを片手で解くとおもむろにタマキの目元を覆った。

「な、に・・・?」
「言うことを聞かない奴には身体で覚えさせないとな」

視覚を奪われたことで中で動くそれが先程以上にリアルに感じられた。

「あ、あっダメ・・・」

片手で出し入れを繰り返しながら、キヨタカはぴんと芯をもった胸の突起を弾いた。
もう限界だ。
タマキが意識を手放しそうになったところに、いきり立つそれをぎゅっと握り込まれた。

「まだダメだ」
「っはぁ、あ、あぁ・・・!」

出し入れしていたそれを奥深くに突っ込むと、カチャカチャと金属音が聞こえた。
これはベルトを外す音だ。
ついにキヨタカが自分の中に入って来るのかと思った瞬間、冷たい声が上から聞こえた。

「口を開けろ」
「どうい・・・っぐ・・・」

喋ろうと口を開いた瞬間熱くて大きいものが中に入り込んできた。
見えなくたってそれが何か分かった。
キヨタカの性器だ。
口の中に収まりきらない程の質量にタマキがむせてもお構いなしだ。

「こういうのもしてきたんだろ?」

キヨタカが軽く腰を揺すり口の中に苦い味が広がった。

「出したかったら、奉仕しろ」

口だけでイかせたら、褒美をやろう。
その言葉にタマキが舌でキヨタカのそれを舐めた。
行為自体は初めてではなかったが、目隠しをされ手を使えない状態でこんな大きいものをくわえるのは初めてだった。

「そんなんじゃ褒美はやれないぞ」
「ん、っんん・・・」

しかし後ろからの刺激に思うようにキヨタカのものを舐めることが出来ない。
それでも持てる限りのテクニックを使って奉仕をしていると、キヨタカの息が荒くなり始めた。
チロチロと舌を動かしたり口をしぼめたりと刺激を繰り返す。
ラストスパートだと動きを速めたら口全体に苦さが広がった。
それを全て飲み干すとキヨタカが優しく髪を撫でた。

「よくやったな、褒美をやろう」

ずるりと口の中から自身を引き抜いて、タマキの中で蠢いていたものも引き抜いた。
視界を遮っていたネクタイを外し、足枷を外して足を大きく開かせた。
目に入ったキヨタカのそれは大きく、それが自分の中に入ってくるのかと思うとぶるりと震えた。

「っはぁ・・・ん」
「全部入ったのぞ、分かるか?」

コクコクと頷くと、キヨタカがゆっくりと腰を動かし始めた。
先程とは比べ物にならない快感が襲ってくる。
今までのどのセックスよりも気持ちが良かった。
キヨタカの動きに合わせて自分も腰を振る。
胸を弄られてぎゅっと締め付けてしまったのが分かった。

「おね、が・・・イかせて・・・」

キヨタカは何も答えずにタマキのそれに触れた。
最奥を何度も突かれ、前を激しく扱かれてタマキは熱を吐き出し意識を飛ばした。


しばらくして目覚めると、そこは見たこともない部屋のベッドの上だった。
全身に走る鈍痛を堪えて上体を起こすと、ベッドの傍で椅子に座るキヨタカと目が合った。

「全部話してもらおうか」

そう言って顔は微笑んでいるはずなのに眼鏡の奥の瞳は酷く冷たい。
手錠の痕をなぞる手は優しいというのに。

「もう俺から逃げるなんて馬鹿なこと考えるなよ」

お前はずっと前から俺のものだ。
身体を労わるように横たえさせ髪を撫でるキヨタカが発した言葉は、赤い瞳の彼よりもずっと恐ろしい狂気を含んでいた。
prisoner
(捕らわれたのは俺か、貴方か)
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