!監獄パロです
饗宴END後のタマキです
ラブラブ・甘々感はないので苦手な方はお控え下さい


「久し振りだな、タマキ」

重いドアを開けて入ってきた男の声にタマキは顔を上げた。
けだるい動作で男の顔をしばらく見て思い出した。
警察にいた頃の上司、キヨタカだ。
何の用だと言わんばかりに睨みつけてもキヨタカの表情は変わらない。
当然だ、タマキは今両手を手錠で両足を足枷で捕らえられていて身動きを取れないのだから。
睨まれることに優越感を感じるのだろうか。
注がれる上からの目線に、ぞくりとしたものが背中を走った。
ここに来てから一度も抱かれていない。
抱かれていないどころか、自分で処理すらしていない。
そこまで考えたところで、キヨタカが再度声を掛けてきた。

「こんなところで再会するとはな」

膝を曲げ、目線を合わせるように顔を覗き込んできた。品の良い整った顔だ。
黒い瞳は以前と同じような気もするが、全く違うような気もする。
ほんの数ヶ月前のことなのに全く思い出せない。
ずきずき、頭の片隅が痛むが意識の外に追いやった。
それよりも今は快楽が欲しい。
冷たく見つめられるだけで身体が疼いてきた。
ちらりとドアの向こうを確認しても見張りは誰もいない。
ごくりと唾を飲み込んでからゆっくりと口を開いた。
上目遣いで挑発するようにキヨタカを見つめながら。

「何しに来たんだ?」
「お前の仲間の話を聞きたくてな」

仲間という言葉をやけに強調してきた。
お前はもう仲間どころか敵だと宣告されているようで心の中で笑った。
まぁ今更仲間だと言われても可笑しくてたまらないのだけど。
だからキヨタカの言葉にクスリと笑った。
生易しい快楽なんていらない。
激情に任せて乱暴に抱かれるくらいじゃないともう満足出来ないんだから。

「嫌だ」

捕まえただけで口を割ると思ったの?
くすくすと笑って見下した態度を取る。
さぁ怒れ。叩き付けるように押し倒せ。

「ならどうすれば口を開く気になる?」

目を細め、真意を探ろうとする顔にぞくぞくする。
早く早くと身体の全細胞が声を上げている。

「さぁ?身体にでも聞いてみたら?」

アマネ仕込みの殺し文句でキヨタカを見つめた。
普通ならこの一言で獣のように覆いかぶさってくるがさすが特殊部隊の隊長だ。
ニヤリと歪められた口許に否応なしに期待してしまう。

「それもアイツの調教か?」

低く呟かれた声は腰に響くほど甘くこれから先に起こることを予感させた。
けれど期待してる様子なんて見せない。
こういうプライドの高い男は屈服させるのが好きだから。
反抗的な態度を見せていると前触れもなく股間をまさぐられた。
弱々しく主張するそれを服の上から撫でられ思わず出そうになった声を必死で抑える。
耐える顔が気に入ったのかキヨタカは満足げに微笑んだ。

「随分と教え込まれんだな」

声を聞くだけで感じてしまうなんて、今までほとんど経験がない。
それほどまでにキヨタカは男の悦ばせ方を知っているようだった。
早くめちゃくちゃにして欲しい。
キヨタカの手に擦り付けるように腰を動かすとぺちんと払われてしまった。
その刺激すらも気持ち良く感じてしまうのだけど。

「あっ、あぁ!」
「何か話す気になったか?」

しかしキヨタカは至って冷静だった。
質問の答えに首を振るとキヨタカはすっと立ち上がった。

「じゃあ今日はここまでだ」

その言葉に頭が真っ白になった。
明日また来るからそれまでによく考えておけ。
さっきまでの低く甘い声とは違い、冷たい声で命令するように告げてキヨタカは部屋を出て行ってしまった。

「うそ・・・」

今までここまでやって抱かない男なんて出会ったことがなかった。
中途半端に熱を持て余し、けれどそれを解消する術もない。
ここへ来て一ヶ月、タマキにとって一番辛い夜が今始まった。

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