「ねぇ、キスしてもいい?」
「はぁ?いつも確認なんて・・・んっ、」

確認しておいて答える前にキスしたら意味ねぇだろとカゲミツは思う。
しかし何度も近付いてくる顔を振り払う気にはなれない。
触れるだけの優しいキスを繰り返してからオミの顔が離れた。
もっとと思ってしまった自分が恥ずかしくてそっぽを向いた。

「いきなり何だよ」
「カゲミツが好きだからキスしたいと思っただけだよ」

しかしオミは恥ずかしげもなくさらりと理由を口に出すのだ。
甘えるように指を絡めて体を預けてくるオミを見ることが出来ない。

「カゲミツ、耳が赤い」
「うるさい」

可愛い、なんて首の近く囁かれて吐息がくすぐったい。
少し身をよじるとオミの腕に包まれた。

「いつまで経っても反応が変わらないね」

そういうところも好きだよと言われて体温がグッと上がったのがわかる。
カゲミツが何も言えずにいると、オミが肩に頭を預けてきた。

「すきのしるしのきす、だよ」
「はぁ?」

自分より少し下にある顔を覗き込むとオミがふふっと笑った。

「さっきの言葉、反対から読んでみて」
「すき・・・の、しるしの・・・」
「わかった?」

オミの言いたいことがわかって思わず顔を背けた。
回された腕にぎゅっと力が込められた。

「回文だよ、素敵だと思わないかい?」

逆から読んでも同じってことは思い合ってる感じがして素敵だと思ったんだと続けた。
そしてオミは言葉を一旦切って、頬に手を寄せて自分のの方を向かせた。

「俺とカゲミツもそうだよね?」

優しく微笑む姿に不覚にもときめいてしまった。
だから言葉の代わりに自分からキスをしてやった。

すきのしるしのきす
(オミの驚いた顔が目に入るまであと3秒)
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