最近タマキに元気がない。
連日の厳しい任務に疲れているんじゃないのかとヒカルは言うけれど、カゲミツにはそういう風には思えなかった。
部隊の仲間と話しているときに笑ってはいるものの、どこか辛そうに見える。
現に今、真っ暗なミーティングルームの中からすすり泣くような音が聞こえている。
そーっと扉を開けて中の様子を探ると、タマキの泣き声がぴたりと止んだ。
暗闇の中手を動かして電気をつけると、頬に涙のあとを残すタマキと目が合った。

「カゲミツ・・・」
「辛いときは俺に言えよな」

突然の訪問者に目を瞬かせるタマキに遠慮がちにカゲミツが話し掛ける。
見てられないんだと言うとタマキが力なく笑った。

「バレてたのか」
「当たり前だろ」

お前のこと、いつも見てるんだからと出掛かった言葉をごくりと飲み込む。
タマキが座る位置から少し距離を空けてカゲミツもソファーに座った。

「カゲミツにはいつも頼ってばっかりだから」
「『俺が』頼られたいんだ」

迷惑なんかじゃないから、そう言ってぎゅっと拳を握り締めた。
タマキの表情は俯いていて分からない。
黙ってしまい、何も答えないタマキにカゲミツが言葉を続けた。

「ひとりじゃないって気付けよ」

タマキはいつも一人で抱え込んでしまうクセがあることをカゲミツは知っている。
だからこそ、それ気付いてその重荷を少しでも軽くしたいと考えるのだ。

「・・・ありがとう」

顔を上げたタマキは笑っていたが、それはやはり無理に作ったような笑顔でカゲミツが顔をしかめる。

「馬鹿、また頑張りすぎてる」

離れていた距離を詰めるて頭をわしわしと撫でると今度は安心したようにタマキが笑った。
やっぱりタマキにはこうして笑っていて欲しい。
抱え切れなくなったら、俺が一緒に抱えてやるから、だから。

「俺のそば離れんなよ」

小さく呟いた言葉にタマキが首を傾げたが笑って誤魔化した。
今はただ、タマキが元気を取り戻してくれれば。

「もう遅いけど飯でも食いに行かねぇ?」

うん、と頷いたタマキを見てカゲミツは元気よく立ち上がった。
not alone
by確かに恋だった様(差し延べる彼のセリフ)
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