「やっぱり無理」 いい加減タマキに告白しないと他の奴に取られるぞとヒカルに唆されたのは今日の朝のことだった。 なんとかタマキを誘い出すことには成功したが、いつもように他愛もない会話を繰り返すばかりだ。 それで思わず出た言葉にタマキが顔をしかめた。 「何がだよ」 「あー、いやなんでもない」 それよりと話題を変えようとして、時計をちらりと見るタマキが目に入った。 任務はないとは言え明日も仕事だ。 気付けば時刻は22時を過ぎている。 このままぐだぐだとタマキを付き合わせる訳にもいかない。 「こんな時間まで付き合わせてごめん」 「それはいいんだけど・・・、」 歯切れの悪い返事をするタマキを置いて立ち上がる。 二人分の勘定を済まし、店を出た。 「今日も駄目だった」 告白しよう、そう決めてタマキを誘ったのは今日だけではない。 ため息混じりに吐き出すと、強い力で肩を掴まれて振り返った。 「前から聞きたかったんだけど、俺に言いたいことでもあるのか?」 真っ直ぐな瞳にたじろぐ。 なんでもないといつも通りに流してはいけない気がした。 それでも拒絶されたくない、今の関係を壊したくないとヘタレな自分が顔を覗かせる。 どうしようかと口ごもっていると、痺れを切らしたタマキが声を上げた。 「言いたいことがあるならはっきり言えよ」 「どうせ俺はへタレだよ」 言ってしまってハッとする。 タマキは驚いたように目をぱちぱちと瞬かせている。 もうこうなったら勢いだ。 二人ぼっちな夜の道路で、ありったけの思いを込めて。 「でもお前が好きなんだよ!」 今日こそ君に back |