いつもあなたは身勝手で
嫌だと言っても強引で。
職場でみんなに隠れてキスなんて日常茶飯事。
みんなに見られては困ると訴えても、見せ付けてやればいいと笑顔で言い切る。
俺様、まさにそんな言葉がぴったりな恋人にタマキは頭を悩ませていた。

「今日、来るだろ?」

解散後、帰る準備をしていたタマキにキヨタカが声を掛けた。
このままついて行くとどうなるかなんて、容易に想像がついた。
だから今日は少し反抗してみよう。
タマキはそう決めて、キヨタカの言葉に首を横に振った。

「今日は遠慮しておきます」
「どうしてだ?」
「今日は予定があるんです」

なんて嘘だけど。
心でそう呟いてキヨタカの顔を見た。
一瞬驚いたように目を瞬かせたが、すぐにいつもの余裕のある表情に戻った。

「そうか、それは残念だな」

ヒカルやカゲミツでも誘って飲むことにするよ。
いつもの強引さからは考えられないほどあっさりと引き下がったキヨタカに思わず拍子抜け。
そのまま歩いて行ってしまった後姿をタマキは呆然と見送った。

予定があると言ったもののそれは嘘で、それを本当にするつもりもなくて。
久し振りに一人で過ごす休日前夜にタマキは暇を持て余していた。
今頃キヨタカはどうして過ごしているのだろう、そう考えて頭を振る。
誘いを断ったのは自分だ。
帰りに買ってきたビールを煽って、面白くもないテレビの画面をただ見つめる。
反抗してみようと意地を張ってみたけれど、一人で過ごす時間は退屈だ。
携帯に手を伸ばして、あとボタンをひとつ押すだけというところで躊躇う。
話したい、でも、やっぱり、だって、頭の中をぐるぐるさせていると、着信音が鳴った。

「・・・はい」
「やっぱり今から家に来い」

人の予定なども聞かずに一方的な話し方はやっぱり俺様な性格だと思う。
それでもはいと答えてしまった自分も相当ならされてしまったらしい。
身勝手さすら愛しく感じる自分に呆れながら、タマキは家を出た。

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