cook! 「今日はタマキの手料理が食べたい」 というキヨタカのリクエストにより、今日の夕食はタマキが作ることになった。 仕事のあと、二人並んでキヨタカの家の近くのスーパーに向かった。 21時を回ったスーパーは人もまばらでゆっくりと買い物をする。 「俺、カレーくらいしか作れません」 「タマキが作るものならなんでもいいぞ」 その言葉に嬉しくなってちらりとキヨタカを見る。 しかしキヨタカは平然とした顔で野菜を選んでいた。 その様子にタマキはこっそりとため息をつく。 キヨタカはしれっと心ときめくことを言うから困る。 こっちは毎回それでどきどきしているというのに。 むーっと少し膨れているとキヨタカが顔を覗き込んできた。 「ニンジンは嫌いだったか?」 「・・・違いますっ!」 そうかと楽しそうに笑うキヨタカに確信犯だと気付いた。 キヨタカの持つニンジンを奪い取ってカートを進める。 後ろでまた笑い声が聞こえた。 家に着いて一息つく間もなく遅過ぎる夕食の準備を始める。 キヨタカは風呂の準備を始めると行ってしまった。 置いてあったエプロンをかけて野菜を水洗いする。 そうこうしているうちにキヨタカがキッチンに戻って来た。 「なんだ、着てるのか」 後ろで残念そうに呟かれたので顔だけ向ける。 「エプロン勝手に使ったらまずかったですか?」 「いや、こっちの方だ」 キヨタカはそう言うと背後に回り、タマキのネクタイを手慣れた動作で外した。 「新妻は裸にエプロンだろ?」 耳元で色気たっぷりの低い声囁かれる。 さらりと撫でられたお尻に、変な気分になりそうだ。 「ご、飯作ってるんで・・・」 見上げて言うと、キヨタカは案外素直に引き下がった。 夜に着てもらおうという声は聞かなかったことにした。 「座って待ってて下さい」 さっきからずっとキッチンの入口から後ろ姿を眺められている。 熱い視線を感じてしまい、タマキは料理に集中出来ない。 しかしキヨタカは料理を作る姿が見たいと移動してくれなかった。 「痛っ・・・」 ジャガイモを切っていると、少し指を切ってしまった。 傷口を見ていると、ふいにその手が取られた。 「どれ、見せてみろ」 大丈夫ですからという声を無視して、キヨタカはタマキを自分の方に向かせた。 傷口を一瞬見てから何の躊躇いもなく指を口に含む。 キヨタカの口の中で舌がそっと傷口をなぞると、タマキの体がぶるりと震えた。 変な声が出そうになるのを懸命に堪える。 「もう、大丈夫ですから」 このままだと流されてしまいそうだったので、キヨタカを少し押し返した。 「まだ途中なんで待ってて下さい」 俯き加減でそう言うとキヨタカはそうだなと手を放してくれた。 依然キヨタカは後ろから眺めているが我慢するしかない。 切り終えた野菜を鍋に入れて、コンロの火をつけた。 少し味をつけておいて肉を鍋に入れて、はぁーと一息つく。 「暇そうだな」 しばらくするといつの間に移動していたのか、キヨタカがタマキの肩に顎を乗せた。 手はタマキのお腹の前で組んで軽く抱きしめるような格好になっている。 「そんなことありません」 実際のところ、手持ちぶさたではあったが、そこで暇ですとは言えない。 言ってしまったら最後、どうなるかなんて想像が容易につく。 「俺は暇なんだが」 そう言ってキヨタカはタマキの内腿を軽くなぞった。 先ほどから少しずつ与えられた快感のせいで敏感に反応してしまう。 少し跳ねた肩を見てキヨタカがにやりと笑った。 「タマキは敏感だな」 キヨタカはそう言うと、後ろから覆い被さるようにタマキに密着した。 タマキのワイシャツのボタンを器用な手つきで上からひとつひとつ外す。 抵抗を見せるタマキの耳にフッと息を吹きかけると、途端に大人しくなった。 「期待、してたんだろ?」 真っ赤な顔で首を横に振るタマキに、説得力はない。 残り下2つを留めているだけになったワイシャツの間から手を忍ばせる。 目的のものはすぐに見付かって、きゅっと摘むとタマキから甘い声が漏れた。 左腕でタマキをがっちりと固定し、右腕は胸を弄り耳をねっとりと舐め上げる。 「ひゃっ・・・ぁ・・・」 タマキは抵抗することも忘れて、キヨタカに体を預けている。 キヨタカが意地悪く顔を覗き込むと潤んだ瞳で見つめられた。 やめてほしいとも、もっとほしいとも見える。 「キヨタカ、・・・さんッ」 少し膨らんだそこを服の上からやんわりと触ると、懇願するような声でタマキが呼んだ。 熱のこもった声で呼ばれ、キヨタカは理性が切れそうなギリギリなところで保つ。 器用にベルトを片手で外してズボンを寛げる。 さぁ今から直にタマキ自身を触ろうかというときに、キッチンタイマーの音が鳴った。 今にも堕ちそうだったタマキの目が見開かれて、冷静さを取り戻す。 「つ、続きやらなくちゃ・・・」 そう言ってキヨタカを引き離そうとするが、ニッコリ笑ってウィンクされた。 「カレーは少し寝かしてからの方が美味しいぞ」 それに今はカレーよりもタマキが食べたいと妖艶に微笑まれた。 中途半端に熱を持った体は更なる刺激を求めていて。 抱き締められるまま、熱いキスを交わしながらベッドルームへと向かった。 back |