「今日からクラスの仲間が一人増える」 朝のホームルームでそう告げられて、彼は教卓の前に立った。 タマキです、と緊張した面持ちで自己紹介をする彼をぼんやりと眺める。 第一印象は真面目そう。 クラスの他の生徒たちが興味津々といった感じタマキを見ている。 カナエが他の生徒の様子を観察していると、斜め少し前に座るアラタと目が合った。 可愛い顔!とアラタが口パクで伝えてくる。 そう言われて初めて転校生の顔を見た。 確かに男にしては可愛い顔をしているかもしれない。 もう一度アラタの方を向くと、カナエの左横あたりを指さしていた。 やったねと口パクで言われ隣を見る。 そういえば、隣の席は誰も座っていなかった。 ここに座るのかと思っていると、突然名前を呼ばれた。 キヨタカが転校生タマキに席を教えていたらしい。 クラス中の視線を集めたまま、タマキは隣の席にやってきた。 それを見届けたキヨタカが授業だと言って教科書を取り出す。 そういえば一時間目は担任の授業だったかと、机の中を探しいると声を掛けられた。 「すまないんだけど俺まだ教科書届いてなくて・・・見せて欲しいんだ」 少し躊躇いがちの声にいいよと答えて机をひっつける。 「俺の名前はカナエ、よろしくね」 とりあえず自己紹介をして手を差し出す。 「ありがとう、これからよろしくな」 ふわり、緊張していたタマキの表情が柔らかく綻んだ。 あ、・・・可愛いかも。 アラタはそういうのを見る目があるなと一人感心する。 人の良さそうな笑顔に見とれていると、タマキが恥ずかしそうに俯いた。 「あんまりジロジロ見るなよ」 顔を少し赤らめているタマキを見て、カナエはごめんねと謝った。 転校生なんて興味ないと思っていたけれど、タマキとはいい友達になれそうだ。 カナエはそんなことを考えながらノートを開いた。 第二印象 (素直そうで可愛いとは思ったけれど!) |