これは修行か、それとも試されているのか? 持ち帰った仕事を終えてベッドルームに入ると、先に寝ている恋人のTシャツが胸のあたりまでめくり上がっているのだ。 最近仕事が立て込んでいてろくに二人の時間が取れていない。 おはようとおやすみに軽く触れる程度のキスなら毎日しているが、それ以上はもう二週間ほどご無沙汰だ。 ごくりとつい生唾を飲み込んでしまったのも仕方ないことだろう。 それに明日は二人揃って休みだ。 まさに据え膳。食べねば男の恥だ。 しかしいくら恋人と言えども寝ている状態で色々するのは気が引ける。 (そういうのもいつかはと思うけれど!) なので夢から醒めてもらうべく、まずは柔らかいほっぺたをつんつんと指でつついた。 「すべすべだなぁ」 弾力のあるぷにぷにとした感触に仕事の疲れが癒される気がする。 「ん、・・・」 艶めかしい声にどきりとしたらタマキが身じろぎをした。 起きてくれたかと顔を覗き込めば、恋人はまだ夢の中らしく可愛らしい寝顔を見せてくれた。 「タマキー、こんな格好だと風邪ひくぞー」 「んむぅ・・・」 声は届いているのか、話し掛ければ反応は返ってくる。 だけど限りなく寝言に近いそれは意味を成していない。 「そんな格好でいたら襲っちゃうぞー」 もちろんそんなことは無理だけど。 控え目に小声で言うとタマキがうっすらと瞼を上げた。 寝起きの舌足らずな話し方がカゲミツの興奮を余計に煽った。 「カゲミツ・・・?」 「タマキ、起きて」 タマキに掛かっていたブランケットを投げ捨てて、上から覆いかぶさる。 まだ完全に起きてはいないけれど、理性の限界がすぐそこまできていた。 片手で状況を飲み込めていないタマキの頬に触れ薄く開いていた口に舌を差し込む。 もう片方の手でタマキの輪郭をなぞっていると、鼻から抜けるような色っぽい声が聞こえた。 ボッと燃えるように身体が熱くなる。 執拗に舌を追い掛けていると、意識がはっきりしてきたらしいタマキに肩をぐっと押し返された。 「いきなり盛り過ぎ・・・」 「し、仕方ないだろ!」 ちらりとタマキの胸元に目線をやると、乱れたTシャツがいやらしくてすぐに目を逸らしてしまった。 「なぁタマキ、」 「いいよ」 言い終わる前にタマキは了承を出した。 仕事が全部終わったなら、いい。 控え目な上目遣いが凶悪なほど可愛い。 もう一度ごくりと生唾を飲み込むと、恥ずかしそうに、だけど妖艶にタマキが微笑んでカゲミツの下半身に手を伸ばした。 「まだキスしかしてないのに」 服の上から形を成してきたそれをなぞる。 間接的な刺激がもどかしい。 「タマキ!」 今すぐにでもひとつになりたい! 勢いよくタマキを抱きしめようとしたらスッと制止された。 「久々なんだから、もっとゆっくり愛し合お?」 久々なんだから逸る気持ちを抑えられないのに。 そんなカゲミツの心境を知ってか知らずかタマキは触れるだけのキスをしてきた。 心地好い、だけど今は貪るように愛したい。 しかし大好きなタマキには逆らうことなんて出来ずにただそれを受け入れる。 軽く唇を食んで先を催促するとクスクスと笑われた。 「せっかちだな」 「仕方ねぇだっ、んっ」 言い訳しようと開いた口はタマキの唇で塞がれた。 キスをしながらジィと下ろされたツナギのジッパーの音にすら興奮を煽られる。 同じようにカゲミツもタマキの服を脱がせながら首筋にキスを落としていく。 時折上がるタマキの甘い声がたまらない。 服を脱がせてくるタマキから主導権を奪おうと手を伸ばすも、簡単に止められて指をくわえられた。 ピチャと音を出しながら赤い舌が自分の手を舐め回している。 ・・・これはエロ過ぎる。 「タマキっ」 「久々なんだから俺にもいろいろさせてよ」 軽く手を握ったまま耳元でそう囁かれてどきりとする。 今いろいろされると、とても我慢出来そうにない。 しかしタマキはカゲミツの返事を聞くことなく身体を下にずらした。 邪魔なツナギと下着を剥ぎ取り、優しくカゲミツのそれに触る。 フッと微笑んだかと思えばタマキは躊躇いもなくそれを口にくわえた。 「タマ、あぁっ」 思わず上げてしまった声が情けない。 だけどタマキは気にすることなく口と手で刺激を与え続けている。 「ほんとにやめてくれ、出そうだから」 久々の強い快感に目元はうっかり涙ぐんでしまっている。 もう限界だ、カゲミツがそう思ってきつく目を閉じるとタマキがパッと離れた。 もどかしい、これ以上ないくらいにもどかしい! 「久々なんだからさ、俺の中にいっぱい出してよ」 一人で先に気持ち良くなるなんて、ずるいぞ。 その言葉だけでイってしまいそうなくらいカゲミツのモノは張り詰めているのに。 その後も散々焦らされたカゲミツは、すべてが終わった後目を真っ赤にしてぐったりと疲れ果ててしまっていた。 ベッドの上でごろりと寝転がっているカゲミツの耳にタマキが唇を寄せる。 「あんまり放っておくと俺だって我慢出来ないんだからな」 そう言い残してサッとバスルームの方に行ってしまった。 去り際に見えた赤い耳は照れている証拠だろう。 明日はゆっくりと恋人らしい休日を過ごそう。 そう考えてカゲミツはゆっくり重い瞼を閉じた。 君は愛しい恋人! (どんなことがあっても、な) ついった診断メーカーより いつもの格好で焦らされて涙ぐんでいるカゲタマを妄想してみよう。 back |