※兄弟パロです
※両親はずっと海外出張中で二人暮らしという設定です
※キヨタカ社会人タマキ高校生くらいの気持ちです

策士な兄と、鈍感な弟

タマキの一日はけたたましい目覚ましのアラームからスタートする。
まだ開ききらない目をこすりながら目覚ましを止めると、頭上からおはようと聞こえて見上げる。

「おはよう兄さん・・・いるなら起こしてくれてもいいじゃないか」
「タマキの可愛い寝顔を見てたら起こせなくてな」

キヨタカはそう言うとおはようのキスだと言って頬に口付ける。
タマキはくすぐったそうにそれを受け取るとうんと伸びをした。

「朝食が冷めないうちにくるんだぞ」

前髪をかきあげて額にもキスをひとつ落としてからキヨタキは部屋を出た。
これがタマキの家の毎朝の風景だ。
キヨタカは海外では挨拶の代わりにキスをするのは当然だとタマキに教えてきた。
幼少期を海外で過ごしていないタマキは絶対的信頼を寄せている兄の言うことだと信じきっている。

タマキが制服に着替えてダイニングに向かうと今日も華やかに彩られた朝食が並んでいる。
両親がずっと海外に出張しているため、朝食は毎朝兄のキヨタカが作っている。

「もっと簡単なものでいいのに・・・毎朝作るの大変だろ?」

イスをひきながらお弁当の準備をしているエプロン姿の兄を見る。
昨日だって自分が寝る頃帰ってきたのにとタマキは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

「可愛い弟のためだ。俺に出来ることなら何だってしてやりたい」

真剣な表情で言うキヨタカに、タマキが顔を少し赤らめる。

「でもたまには俺が作るよ!」

兄さんほど上手くはないけどと付け足すとキヨタカは優しく笑った。

「ありがとう、タマキ。じゃあ今度一緒に作ろう」

お弁当を包み終えたキヨタカがタマキの頭にポンと手を乗せる。
タマキはキヨタカの否定せずにを受け入れてくれるところが大好きだった。
昔、テストでひどい点を取ってしまったときもこの大きな手は次頑張ればいいと頭を撫でてくれた。
そんな昔のことを思い出していると早く食べないと遅刻するぞと声を掛けられ我に返る。
いただきますと手を合わせるとタマキはトーストを口に運んだ。

朝食を食べ終えると家を出る時間になっていた。
急いでカバンを持ち玄関に行くと忘れ物だと肩をひかれ額に口付けられる。
驚いて顔を見上げると気をつけていってらっしゃいと綺麗に微笑まれた。

タマキが学校から帰ってくると珍しくキヨタカが出迎えてくれた。
最近抱えていた大きな仕事に一区切りがついたらしい。
夕食の材料を買いに行くというキヨタカに、タマキも一緒に行く。
一緒に作るよと控え目に申し出れば、キヨタカは嬉しそうに笑ってくれた。
仕事の忙しい兄と一緒に食べる夕食はいつ振りだろうか。
学校の話、友達の話と最近ゆっくりする機会がなかったので一気に話してしまう。
キヨタカはそれを時々相槌を打ちながら楽しそうに聞いてくれた。

「兄さんはさ・・・、彼女とかいないの?」

タマキは今まで気になってはいたけれど、ずっと聞けなかった疑問をぶつけてみた。
キヨタカは不思議そうな顔で突然どうしたと聞いてくる。
この家に二人で住み始めて以来、キヨタカに恋人がいる気配を感じたことがなかった。
身長が高く、スタイルもいい。おまけに顔もかっこいい。
仕事だって出来るし性格も申し分ないのに、だ。
非の打ち所がないとはまさにキヨタカのことだと思っているタマキは、不思議でたまらなかったのだと正直に話す。

「タマキはそんなに俺に恋人がいて欲しいか?」

キヨタカにそう聞かれて考え込んでしまう。
恋人が出来ると、自分に構ってくれなくなるかもしれない。
そう考えると、恋人はいないで欲しかったので首を横に振る。
キヨタカはそうかと満足げに笑い、お前が好きだからなと言った。
タマキは一瞬え?という表情になったがすぐに笑顔になる。
どこまでも弟思いの優しい兄だと思ったタマキが、キヨタカの真意に気付く日は来るのだろうか。

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