オミカゲ/カナタマ/キヨヒカ/マス+トキが同時進行で進んでいます
苦手なカップリングがある方はご注意ください




花火のよるに
「今年もこの季節がやってきたぞ」

にっこり笑ったキヨタカがみんなに差し出したのは一枚のチラシだった。

「花火大会ですね」

そのチラシを受け取ったタマキがにこりと笑う。
それは毎年帝都で行われている花火大会のもので、日本でも有数の規模を誇るものだ。
わいわいと話し始めた隊員達を、コホンと咳払いをしてキヨタカが止める。

「楽しそうなところ悪いんだが」
「すみません」

言葉を発したキヨタカにタマキが謝る。
キヨタカがこの花火大会のチラシをこのタイミングで持ってきたということは任務に関係あるのだろう。
みんな黙ってキヨタカを見つめると、口を開いた。

「毎年この花火大会には部隊から二人警備に行ってもらわなければならない」
「今年はオミとレイ、だろ?」

それまで我関せずとパソコンに向かっていたカゲミツが口を挟んだ。
部隊に新人が入った年はそいつが花火大会の警備にあたる。
これはJ部隊の暗黙の了解となっていたからだ。
だからカゲミツはさして興味を示すことなくパソコンに向かっていたのだ。
だがキヨタカの答えは違った。

「今年はオミとカゲミツ、お前に行ってもらう」
「はぁ、なんでだよ!」

勢いよくテーブルを叩いて立ち上がったカゲミツにキヨタカは動じない。

「これは命令だ、異論は認めない」

そういうことだと告げて、部隊は解散となった。
納得のいかないカゲミツがすぐにキヨタカの元に駆け寄った。

「なんでだよ」
「今はうちの部隊の人間だが、元テロリストの二人を同時に警備に当たらせる訳にはいかんだろ」

それらしい理由を返されて言葉に詰まる。
それで二人が組まされない理由はわかったけれど、なぜ自分なのかは納得が出来ない。
それにオミもレイも心臓に爆弾を埋め込む手術をされているのだ。
そこまでしておいてまだ疑うような言葉に苛立ちが込み上げる。
ギロリと睨みつけると言いたいことがわかったのかニヤリとキヨタカが笑った。

「花火大会を二人に楽しませてやろうという粋な計らいじゃないか」
「望んでねぇ!」
「そうは言ってももう資料は提出してしまった、もう変更出来ないぞ」

だからこんなにギリギリに言われたのかとカゲミツが奥歯を噛み締める。
ちらりとカレンダーに目をやると花火大会まで残り一週間だ。
キヨタカにしてやられた。
多分元テロリスト云々の理由は完全に後付けだ。
むっとするカゲミツをよそに、他の隊員達は花火を見に行く計画を立てている。
みんなで見た方が楽しいというタマキの提案だ。
タマキちゃんは浴衣着てくるの?なんてアラタが言っている。
そんな様子を恨めしげに眺めていると、ふとソファーの隣に座るオミの視線を感じた。

「なんだ?」
「こうでもならなきゃ行かなかっただろ?」
「まぁそうだろうな」

人は多いし、夜だといっても蒸し暑い。
そんなところは遠慮したいところだ。
だからこそこの警備をやりたくない。

「ならカゲミツには悪いけど、俺はよかったと思うよ」

それだけ告げてオミは立ち上がって給湯室に向かった。

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