睡眠を取る為には不向きなけばけばしいベッド上で俺とオミは向かい合って横になっていた。
もちろん睡眠を取る為ではなく、このベッドの"正しい使い方"をした結果な訳だけど。
ただ不毛な快楽を貪り合っただけだというのにこの倦怠感は嫌いじゃない。
余韻に浸りながら優しく触れてくるオミの体温を感じる。
俺達が敵対している関係だなんて忘れてしまいそうになる。
ずっと、こうしていたいと思ってしまう。
そっと髪をかきあげて流れるように耳の後ろをなぞり頬に触れて顎に辿り着く。
そして啄むようなキスをひとつして、オミは満足そうに笑うのだ。

「なぁオミ・・・」
「なんだい?」

口調は敵として対面している時と変わらないのに、声色は同一人物なのかと疑いたくなるほど優しい。
コイツは本当はこんな奴なんだ、俺は知っている。だから。

「復讐なんて、やめちまえよ」

オミが復讐する理由は痛いほどわかる。
けれど命の危険を冒してまですることだとはどうしても思えないんだ。
それならばさっさと投降して俺と一緒にいてくれねぇか。
しばらくは檻にぶち込まれるだろうけれど、ここぞとばかり親父の力を使って早く出て来れるようにするからさ。
そんな懇願を込めた目で見つめると、オミはフッと笑った。

「やめちゃおっか」

綺麗な笑顔で囁かれた言葉は、今一番俺が欲しいもので目を見開く。
本当かと告げる前にオミが小さく息を吐いた。

「・・・なんて、いくらカゲミツの頼みでも言えない」

全部壊すまで、やめられない。
まるで使命かのように小さく呟いたオミに俺は目を伏せた。
一体それは誰に課せられた使命なんだ?
自分自身か?
一人殺すごとに自分の手が黒く染まっていく気がすると言ったのはお前自身だろ。
お前を救いたい、その気持ちは俺のエゴかもしれない。
でもやっぱり救いたいんだよ。
好き・・・、なんだから当然だろ。
だから辛くて、悔しくて。
鼻の奥がつんとして涙が込み上げてくる。
堪え切れずにうっと嗚咽を漏らすと、オミが困ったように笑った。

「何泣いてるの」

目尻に溢れた涙を指の腹で拭う。
俺に触れる手は、こんなにも優しい。

「オミ」
「ん?」

至近距離で見つめ合うその顔はテロリストには似つかわしくないほど美しい。

「すきだ」

お前がいない未来なんて、考えられないくらいに。
少しでも伝わればいいと思い、オミの首に腕を回す。
優しく触れ合うと思っていた唇はオミに仕掛けられた噛み付くようなキスに吸い込まれた。
激しく荒々しく俺の口内を暴れ回る。
息苦しくなって肩を弱く掴むとようやくオミは離れた。
二人の唇の間に銀糸が伝って心臓がどきりと跳ねる。

「俺もカゲミツを愛してるよ」

そんなこと言うなら、声に出せず瞳で訴えた言葉はオミに遮られた。
またもや唇を塞がれ、まだ微かに熱の残る身体を着火させるようにいやらしく指がなぞる。
そうされてしまえば快感を知った身体は簡単に煽られて後はもうされるがままだ。
好きだ、愛してると囁くオミの言葉に嘘はない、きっと。
だからこそ感じる胸の痛みに浮かんだ涙は、快楽のせいにしてオミの背中に腕を回した。

束の間に愛を

ついった診断メーカーより
オミカゲにオススメのキス題。
ベッドの上、泣き顔、甘い雰囲気、自分からしようと思ったら奪われた

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