「カゲミツが全然甘えてくれないんだ」
「そりゃ無理だろ」
「そうかもしれないけど、やっぱこっちとしては甘えて欲しいじゃん」

解散後、射撃場で訓練をしていたタマキがミーティングルームに入ろうとするとオミとヒカルの会話が聞こえて立ち止まった。
オミとカゲミツの関係は全員が知っていることだから遠慮することはない。
だが二人の会話の内容が妙に気になってしまったのだ。
バレないように息を潜めて、部屋の中の声に耳を傾ける。

「カゲミツって素直じゃないだろ?少しでいいから気持ちを見せて欲しいんだよね」
「多分男の自分が甘えても可愛くないって思ってるんだろ」
「別に女の子みたいに甘えて欲しい訳じゃない。ただ二人で並んで座ってるときに肩に頭を預けるとか、そんなのでいいんだ」

キヨタカと付き合っているタマキは、なかなか甘えられないカゲミツの気持ちを理解出来た。
いくら恋人とはいえ、男の自分が甘えるというのには抵抗を感じてしまうのだ。
だけど寂しそうな声のオミに自分の恋人の姿を思い浮かべる。
キヨタカも本当は甘えて欲しいと思っているのだろうか?
キヨタカがそう思っているのならははっきりと口に出しそうな気はするけれど。
でもこれはいい機会かもしれない。
そう思ってタマキはミーティングルームのドアを開いた。



その夜、タマキはいつものようにキヨタカの家に来ていた。
夕食は済ませてきたので、お風呂の準備が出来るまで二人でテレビを見ながら寛いでいるときだった。

「隊長」
「・・・」
「キヨタカ、さん」

いつものように隊長と呼ぶ声は無視されてしまった。
仕方なく名前で呼ぶと不満そうな顔を向けられた。
名前にさんを付けたのが気に入らなかったのだろう。
しかし呼び捨てにするのはどうしても慣れないので、そのまま話を進める。

「あの、・・・甘えてもいいですか?」

言おうと決意していても、やっぱり恥ずかしくなってきてしまう。
ふいと視線を逸らすと、キヨタカが足を組み替えたのが目に入った。

「どんな風に?」
「えっ?」
「どんな風に甘えたいのかを聞いているんだ」

タマキの予定としては頷いたキヨタカに寄り掛かるつもりだった。
しかしどんな風にと聞かれてしまえば、それだけでは終われない気がする。
言葉に詰まったタマキをよそに、キヨタカはにやにやと厭な笑みを浮かべている。

しばらくぐるぐると頭を回転させたタマキが、ようやくひとつの答えにたどり着いた。
こんなこと、自分が言っても可愛くないなんて重々承知の上だ。

「あの・・・膝枕とか」

恥ずかしくて穴があったら入りたいとは、まさにこんなときに使うのだろう。
キヨタカは耳まで真っ赤にしたタマキの肩を引き寄せ、膝の上に乗せた。

「これでいいか?」
「・・・ハイ」

優しく髪を撫でるキヨタカの顔を見ることが出来ず、タマキはしばらくじっとつけっぱなしのテレビを眺めていたのだった。

May I presume?

ついった診断メーカーより
好きな人「甘えてもいいかな」
キヨタカ「どんな風に?」
好きな人「えっ」
キヨタカ「どんな風に甘えたいの?」
好きな人「え…あの…膝枕とか…」
好きな人は照れている…

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