「二発も撃つなんて、無謀だっつーの」

ぐるぐるとキヨタカの肩に包帯を巻きながらヒカルがぼやく。
今日の任務はとあるマフィアの制圧だった。
普段は実戦に参加しないキヨタカだけど、今日は珍しく戦闘に加わっていたのだ。
そこで敵と交戦している時に、あのモンスターを二発もお見舞いしたらしい。

「無理すんなよ」
「仕方ないだろ」

本当は辛いくせに、誰にも悟られないようにと振る舞って。
とことんカッコつけたがりな性格だ。
包帯を巻き終えて、終わりだと軽く叩くと小さな呻き声が聞こえた。
カッコつけたがりな性格は、長い付き合いの恋人の前でも変わらないらしい。
だから次は強い力で叩いて包帯の上に額をくっつけた。
今度ははっきりとした呻き声が聞こえる。

「俺の前では強がるなよ」

キヨタカが唯一弱さを見せられる存在でありたい。
何でも完璧にこなしてしまうように見える恋人だけど、決してそんなことはない。
だから自分がその弱さを受け入れたい。
言葉で伝えてもきっとキヨタカは笑って流してしまうから。
肩にそっと手を置いて、労るように首筋にキスを落とした。

「愛されているな」
「知らなかったのかよ」
「いや、よく知っているぞ」

ぴとっと背中にくっつくヒカルの顔を見る為に身体ごと振り返る。
心配そうに瞳を揺らす姿が愛しくて、顎を掴んで唇を重ねた。

「キヨタカッ・・・」
「誘ってきたのはお前だろ?」

そう言ってやると、ヒカルが黙って視線を落とした。
もう長い付き合いなのだ。
ヒカルの誘いがわからない訳がない。

「今日はお前ががリードするんだぞ」
「なんで・・・!」
「俺はこの通り、身体が動かないんだ」

包帯が巻かれた腕を持ち上げると、ヒカルが頬を膨らませる。

「甘やかせてくれるんじゃないのか?」
「今日だけ特別だからな!」

まるで啖呵をきるみたいにそう言って、ヒカルは勢いよくキヨタカの服を剥ぎ取り始めた。

*

「はっ、あぁんっ」

キヨタカの上に跨がり、自ら身体を揺らしてヒカルは喘ぐ。
久し振りに見上げるヒカルの痴態はキヨタカの興奮を存分に煽った。

「きもち、いい・・・?」

しかもいつもは言わないようなことまで言ってくれるのだ。
触れてもいないのに芯を持った胸の突起を弄ると、きつく締め付けてきて思わず呻き声が出てしまう。
息を荒くしながらもヒカルは恍惚な表情を浮かべている。
キヨタカはといえば殆どされるがままだったというのに。
これも調教の賜物だと思うと達成感が広がった。

「ヒカル、よくやったな」

頭を撫でて深くキスをしながら下から突き上げてやる。
首に強くしがみついてくる腕が心地好い。
ラストスパートとだと激しく腰を動かすと、ヒカルが身体をビクビクと痙攣させて達した。
それにつられてキヨタカもヒカルの体内に熱いものを注ぎ込む。
あぁと漏れた声が色っぽくて、ぐったりと体重を預かるヒカルの耳に舌を這わせた。

「凄く、よかったぞ」
「んっ・・・、おれも」

耳元で囁くとくすぐったそうに身をよじった。
蕩けそうな顔でおれもなんて言われてしまえば、再び熱を取り戻してしまうに決まっている。

「さすがにもうは辛いな」

キヨタカがひとりごちると、ヒカルがふいに身体を離した。

「してやる」

何をと目を瞬かせる前にヒカルは足の間に顔を埋めた。

*

ヒカルの口に熱を吐き出し、身体を綺麗にして二人でベッドに入った。
甘えるように擦り寄ってくるヒカルを包帯をしてない腕で抱きしめてやる。

「戦闘に参加するってだけで心配なんだからな」
「ああ」
「だから余計な心配させんなよ」
「わかった」

いつになく素直なヒカルにキヨタカも頷く。

「ヒカル、ありがとう」

だからキヨタカも混じり気なしの本心を素直に伝える。
愛しるよ、そう囁くと照れ臭そうに微笑んで服の袖をぎゅっと握る。
まどろむヒカルに触れるだけのキスをして、キヨタカも瞳を閉じた。

ぜんぶ、みせて

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