いつもは優しくエスコートしてくれるカゲミツだけど、今日は荒々しくベッドに押し倒された。
上に被さって落ちてくる唇は噛むように激しい。
息つく暇も与えない激しいキスに、タマキは身体の力が抜けてしまった。
髪を撫でながらカゲミツが首に吸い付いた。
チクリとした痛みですら刺激に感じてしまう。

「あっ、そんなところ」
「みんな知ってるんだから、いいだろ」

嬉しい、けど恥ずかしい。
顔を背けると今度は見えない位置にがぶりと噛み付かれた。
噛み痕をゆっくりと舌でなぞられ、変な声が出てしまう。

「タマキ、声聞かせて」
「だっ、て・・・!」

いつも優しく、こちらを気遣うカゲミツは今は全くの別人のようだ。
今まで見たことのない一面に、知らず知らずのうちに熱が上がってしまう。
赤い舌を挑発的に見せつけ、タマキの反応を窺う。
さっきの子供のような笑顔が嘘みたいな、大人の男の顔にドキッとする。
服を剥ぎ取りながら、カゲミツは指で唇で舌でとタマキの身体を愛撫していく。
スエットのパンツを脱がせ、内股を唇で撫でながらカゲミツがきつく吸い痕を残す。
下着の上から少し大きくなったそれに触れると、タマキが息を詰めた。
下着も脱がせてあらわになったタマキのものを躊躇いなく口に含む。

「カゲミツ、何っ・・・!」
「あまりにも美味しそうだったから」
「あっ・・・喋んないで・・・」

慣れない刺激にタマキが身をよじる。
それをカゲミツが優しく押さえ込み、優しく口で高めていく。
足をバタバタとさせ、時折抑え切れずに洩れる喘ぎ声がたまらない。
夢中になってむしゃぶりつくとタマキの腰がガクガクと震えて熱を吐き出した。

呼吸を乱しながらタマキぎ顔を上げると、カゲミツが口を手の甲で拭っていた。
口の端には白い液体がついていて、思わず顔を背けたくなってしまう。

「早く出せ」
「もう全部飲んだ」

なるべくカゲミツを見ないようにして言うと、驚愕の言葉が返ってきた。
驚いて顔を見ると真っ赤な舌が口の周りの液体を舐め取っていてたまらない。
凄く美味しかったなんて言われて、顔から火が出そうなほど恥ずかしい。
両腕で顔を覆うとへそに唇が落とされた。
ちゅっちゅっとお腹から太股にかけて優しいキスの雨が降らされる。

「・・・嫌だったか?」

そう聞いてくる声は少ししゅんとしていて、ハラハラとしているのがわかる。
タマキが何も答えずにいると、カゲミツはキスを降らすのをやめ両腕で全身を包み込んできた。
それが主人のご機嫌を窺う犬のようで、堪え切れずに笑みをこぼしてしまった。

「タマキ・・・?」
「すっごい恥ずかしかった」

そう言うとカゲミツの表情が途端に暗くなった。
だから肩に腕を回してカゲミツの耳元に口を寄せる。

「でも、気持ちよかった・・・」

ほんの小さな声だけどカゲミツには届いたはずだ。
その証拠に白い首筋がうっすらと赤く染まっている。
愛しくなってそこに口付けると、いきなり体制を変えて乗り上げられた。
両足を抱えられ恥ずかしい部分がカゲミツの目の前に曝されてしまう。

「カゲミツっ」
「もう我慢出来ねぇ」

自分の指を口に含み、舌で湿らせてからゆっくりとタマキを解していく。
その姿が男らしくて色っぽくて一瞬見とれてしまった。
優しく、だけど性急に指を進めタマキの感じる部分を執拗に責めてくる。
もう我慢出来なくなり、だらしなく声を上げてしまう。
中で動いていた指が唐突に引き抜かれて、カゲミツの高ぶりが宛がわれる。
それだけで感じてしまう自分をはしたなくも思うけど、好きなんだから仕方ない。
ゆっくりと中に入ってきたカゲミツを感じながら、タマキも自ら腰を揺らした。

*

「んっ・・・?」
「タマキ、おはよ」

次にタマキが目を覚ましたときには、カーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。
眩しさに目を細めると、カゲミツが労るように髪をそっと撫でた。

「その・・・、大丈夫か?」

ポリポリと頬をかいて問うのは昨夜のことで、思い出して顔がボッと熱くなってしまった。

「カ、カゲミツこそ晩飯途中だっただろ」
「俺はいいんだ、タマキで腹がいっぱいになった」

ふわりと微笑まれて、まともに顔を見ることが出来ない。
ブランケットで顔を隠すと、おでこにカゲミツの唇が落ちてきた。

「今タマキの顔見たら、また腹が減っちまったみたいだ」

ブランケットを優しくどけて、近付いてきた顔にゆっくりと目を閉じる。
昨夜の後片付けもしないまま、二人はまたベッドの中に潜り込んだのだった。

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