▽02/07 01:34

「一口もーらいっ」
「あ、テメ、何すんだ!」

ソファーの上でタマキが買ってきたというアイスを取り合うカゲミツとオミを見て目を細める。
ナイツオブラウンドが崩壊し、オミやヒサヤにレイ、そしてカナエがJ部隊に入隊した。
また個性の強い奴らだとキヨタカは笑い、タマキはかつての敵を笑顔で迎え入れた。
本当にお人よしばかりだと思う。
それは奴らのせいで生死の境をさまよったカゲオミもそうだった。

「お前はいいのか?」
「何が?」
「これからアイツらが"仲間"になるんだぞ」
「別に・・・どうでも」


二人きりの部屋でパソコンに向かうカゲミツに質問をぶつけてみると、気にしていないといった顔。
自分だけでなく、父親までもが狙われたというのにカゲミツは至って冷静だ。

「アイツが生きて、罪を償ってくれればそれでいい」

アイツらと複数系で話を掛けたのに、カゲミツの中にはたった一人の男しかいないらしい。
自分があの時手を差し延べていればという負い目を感じているのかもしれない。
組織を崩壊させアイツをこっちの世界に戻ってこさせただけでお前の罪滅ぼしは出来てると思うんだけど。
どうやらカゲミツはそういう訳ではないらしい。
そんな数日前のやり取りを思い出して意識を二人に戻した。

「お前のも一口よこせよ」
「嫌だね」
「お前、自分ばっか・・・!」

ぎゃあぎゃあと騒ぐ姿はまるで子供のようだ。
"あの頃"出来なかったことを今、取り戻そうとするかのように。
しかし二人だってもう大人だ。
ふざけながらもやけに近い二人の顔、密着した体は恋人として見ていて気分のいいものではない。
だから。

「カゲミツ、ちょっといいか?」
「あ?ちょっと待って、今、」
「もう一口」
「だからやめろって!」

こっちを向いたカゲミツの意識をまた自分に戻そうとするかのようにオミが割り込んできた。
オミの本心はどうなのかわからない。
ったく、と顔をしかめてこちらに向かってきたカゲミツの手をひいて屋上に出た。

「オミと仲良いな」
「どこをどう見たら仲良く見えるんだよ」

心外だと声を上げたカゲミツを腕の中に閉じ込める。

「嫉妬、しちゃった」
「訳わかんねぇ・・・」

言葉ではそう言うけれどカゲミツは腕から逃げようとしない。
肩に顔を埋めると、ゆるりと背中に腕が回ってきた。

「お前がオミのことを大切な友達だと思ってるのはわかってる」
「じゃあ嫉妬することねーじゃん」
「大切に思う気持ちが愛情に変わるかも、とか考えちゃったんだよね」

ハハハと渇いた笑い声を上げると、小さく、だけど芯のある声で名前を呼ばれた。
顔を上げて、カゲミツの顔を覗き込む。
射抜かれそうなほど真っ直ぐな瞳と目が合った。

「俺はお前が必要だ」

アイツがまた道を踏み外しそうになったら、手を差し延べるのは俺だと思う。
けど、そう思えるのはお前が隣にいるからだ。

しっかりと目を見て告げられた言葉に呼吸も忘れてしまう。
好きだなんてただ甘いだけの言葉よりも説得力のある告白だ。

「お前、時々とんでもないこと言うな」
「は?」

無自覚だったのかきょとんとした顔に手をそえる。
意味がわかったのか無言で目を閉じたカゲミツと唇を重ねた。

*

もっと余裕のあるお兄さんとテンパるカゲミツのギャグ風味になるはずやったのに、余裕少なめなお兄さんと余裕あり気味なカゲミツになってしまった←

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