▽01/19 01:25

ヒカルがいない夜にワゴンに行くようになったのも日常になってきた。
仲間にはおおっぴらには言えない秘密の関係。
だけど二人でこうして過ごす夜はささないけれど幸せだ。
そんなある夜、カナエが唐突に口を開いた。

「カゲミツ君、二人で写真撮らない?」
「なんでだよ」

予想通り怪訝な顔をするカゲミツにやんわりと微笑んでインスタントカメラを見せる。
それでも頷きそうにないカゲミツを後ろから抱きしめて耳元で囁く。

「いつでもカゲミツ君を見れるように、かな?」
「いつでも会えるじゃねーか」

もっともだし、嬉しいことを言ってくれている。
しかしそろそろそうも言ってられなくなってきてしまったのだ。
恋人のカゲミツにすら言えない秘密。
その秘密がバレるのも時間の問題だろう。
だからその前に幸せだったこの瞬間を確かなものに残しておきたい。

「会えないときでも、カゲミツ君の顔が見れるでしょ?」
「・・・しばらく会えないみたいな言い方だな」

考えていたことが言葉に出てしまったのか、カゲミツの妙に鋭い言葉にハッとする。
カゲミツはそんなカナエを見ないフリをして、顎に手を置いた。

「俺にもくれるのか?」
「欲しいの?」
「そりゃそーだろ・・・」

恥ずかしいのか語尾が小さくなったカゲミツが心底愛しい。
手を伸ばして二人がうまくフレームに収まるように調整する。
はい、チーズ。
カゲミツの笑顔はぎこちなかったけど、それでもカナエは満足だった。
カメラをしまいカゲミツを自分の方に向かせた。
愛しさを伝えるように口付けると、背中に躊躇いがちな手が回ってきた。
一体、あと何回こう出来るのだろうか。
慈しむようにキスにずっと無事でいられるようにと願いを込めて。



しかし運命とは皮肉なものだ。
いつかと思っていた秘密は真っ先にカゲミツにバレて、ずっと無事に願っていたのに自らの手で引き金をひいてしまった。
赤に沈むカゲミツの髪をさらりと撫でる。

「・・・ごめんね」

でもこうするしかなかったんだ。
きっとこれからはもっと危険な戦いになる。
だからこれ以上危険な目に遭わせないように。
急所は外したからきっと死ぬことはないはずだ。
血の気がひいていくカゲミツの耳元で小さく囁いた。

「おやすみ」

今までの関係にはきっと戻れない。
二人が愛し合った唯一の証拠を胸に、カナエは一度も振り返ることなく歩き始めた。

(ありがとう、さようなら、更に言うとあいしてる)

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