▽12/20 09:53
「僕はカゲミツ君と一緒にお風呂入ったもん」
「銭湯は一緒に入ったって言わないよ、それより俺はカゲミツとキスしたからね」
「寝てるときにでしょ?この変態!キスなら僕だってしてるもん」
「ほっぺたにだろ?それはキスとは言わないんだよ」
トキオが部屋に入るとアラタとオミがうるさく言い争っていて耳を塞いだ。
しかしこの場を沈めるのもリーダーの役目だと仕方なく二人に近付く。
「二人ともどうしたんだ?」
飽きれた口調で声を掛けると二人が同時にこちらを向いた。
喧嘩する程仲がいいというのは本当だな。
トキオがそんなことを考えているとアラタがオミを指差しながら口を開いた。
「僕とコイツとどっちがカゲミツ君にふさわしいか考えてたの」
「コイツって言うな。それにもう答えは出てるだろ?」
「それって敗北宣言?」
「お前の負けだって言ってるの」
またぎゃーぎゃーと騒ぎ始めた二人の間に入る。
本人がいないところで何やってんだか。
だからどんな奴がふさわしいのか優しく教えてあげることにした。
「まずカゲミツはああ見えてかなり繊細だ。まずは包容力が必要だな」
トキオの言葉に二人が黙り込んだ。
けれど気にせず話しを続ける。
「それからツンデレを受け入れられる広い心、アイツ機嫌悪いと容赦ないから」
「それは大丈夫だよ」
オミが自信満々に口を開いたがそれを制して話を続ける。
「後は不摂生だから料理を作れないとダメだ」
ここまで一気に言ってから一呼吸おいた。
「だからカゲミツにふさわしいのは俺ってこと」
ニッコリ笑うと二人の視線が鋭くなった。
嫌だなぁ、そんな恐い顔しちゃって。
「真剣に話を聞いたら・・・何それ」
「いくらリーダーでもそれはないかな」
「カゲミツの恋人が言ってるのに?」
「「え・・・?」」
二人が同時に固まったとき、部屋にカゲミツが入ってきた。
名前を呼んで手招きすると素直にこちらにやって来た。
全く信じていない様子の二人を前にカゲミツの肩を抱く。
「なっ、何すんだ!」
「いいからいいから」
そのまま空いた手でカゲミツの頬に触れてから唇を重ねた。
あ、という二人の声が聞こえたが構わずにキスを続ける。
調子に乗って尻を触ったら手を払われたので唇を離した。
「いきなり何すんだよ」
「カゲミツにふさわしいのは誰かって話をしてたんだよ」
顔を赤くしているのが可愛い。
こんな可愛い姿を他人に見せたくなかったが仕方ない。
「じゃあなんでいきなりキ、キスされなきゃなんねぇんだよ」
「だってカゲミツにふさわしいのって俺しかないでしょ?」
顔を覗き込んで目を見つめてやるとカゲミツが黙り込んでしまった。
カゲミツはこうされるのに弱いのだ。
照れてる姿が可愛いくて抱き締めても抵抗されない。
「俺達のこと忘れてない?」
「タマキちゃん以外にデレるカゲミツ君、初めて見た」
二人の世界に入ってしまったトキオとカゲミツ。
アラタとオミはそっと二人から離れた。
「でも僕まだ諦めないよ」
「俺だってそうだよ」
トキオとカゲミツが二人が消えたことに気付いたのはそれから5分も経った後だった。
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