▽12/05 00:56

友達がライブをすると言うので一人でやって来たライブハウス。
中にいるのは同じような年齢の奴ばかりで所詮内輪ノリだとタマキは後ろの方に立っていた。
前の方で冷やかしみたいに盛り上がる客席を見てふーっと息を吐き出す。
こんなことなら出番を聞いておけばよかったな。
壁に背を預け酒を飲んでいると隣に目立つ金髪がやってきた。
今演奏しているバンドに興味を持てなかったタマキは隣の男をこっそりと盗み見る。
色が白く綺麗な顔立ちをしている。
醸し出す雰囲気は他人を引き付けるオーラを感じた。
そっと足元に視線をずらすとパスが貼ってあるので恐らく出演者だろう。
もう一度視線を上げて男の顔を見た。
腕を組んでただまっすぐ射るようにステージを見つめている。
前に演奏したバンドのメンバーが馴れ合いのように盛り上がりているのとは違い真剣だ。
しばらく男はそこに立っていたが、突然ふらりと入口を出て行ってしまった。
ステージに目を向けると、もう既に先ほどのバンドは楽器を片付け始めていた。

次に出て来たのはタマキの友達のバンドだった。
普段はふざけた奴なのに楽器を手にしただけであんなにも違う人に見えるのだろうか。
バンドをやればモテるというのはあながち嘘ではないとタマキは思った。
さっきの奴はバンドなんかしなくてもモテそうなのにな、とそこまで考えて気が付いた。
自分が思っている以上に金髪の男に興味を持っていることに。
友達のバンドが終われば帰ろうと思っていたが、彼がどんな音を鳴らすのだろうと気になった。
結局、友達のバンドが終わってもタマキは場所を移動することはなかった。
次に出て来たのが先程の男だった。
ステージの真ん中に立ち、チューニングをしている。
ギターボーカルなんだなと思って他のメンバーを見渡す。
彼の他にはもう一人ギターがいて、あとはベースとドラムのよくある編成だ。
メンバー全員がサウンドチェックを終え一旦ステージを降りた。
わくわくと期待感が膨らむ。

ライブハウス内に流れていた音楽がフェードアウトし、フロアの電気が突然暗くなった。
一瞬の間を置いてSEが鳴りはじめた。
冷やかしていたバンドマン達もじっとステージを見つめている。
ドラム、ベース、ギターと出て来て、彼は一番最後にステージに立った。
ライトを浴びた彼は先程以上に華やかなオーラを纏っているように思える。
確かめるようにギターを鳴らし、彼が後ろを向いた。
メンバーが確認するように頷いて、彼がギターを弾きながらマイクに向き直った。
それから音楽に乗って届いた彼の声に、タマキは固まった。

落雷
(まるで雷にうたれたかのような衝撃)

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