▽01/06 00:00
「今日の夜暇?」
「暇だけど・・・」
「じゃあ俺の家で晩飯食おう」
決定ね、と勝手に決められた仕事後、カゲミツは約束通りトキオの家に来ていた。
食べたいものを作ってやるという言われ、悩んだ末オムライスをリクエストをした。
「もっと何かあっただろ」
「タマキがお前のオムライスは絶品だって言ってた」
「そうか・・・、ならタマキに食わせた以上のものを作ってやるよ」
そう言って買い物を済ませたトキオはキッチンに入った。
心なしかいつもより気合いが入っているように見える。
何度かこうやって手料理をごちそうになっているが、こんなに真剣に作っているのを初めて見た気がする。
手際よくたまごを割る姿を眺めているとトキオが笑いながら振り返った。
「お前毎回見過ぎ」
「何度見てもすげぇなぁって思うんだよ」
「そんなに熱い視線で見られると恥ずかしいだけど?」
「ばっ、何言ってんだよ」
照れたのかそう叫んでキッチンを出たカゲミツにトキオが小さく笑った。
それは食事を終え、二人で一息ついているときのことだった。
「タマキの言う通り絶品だったな」
「そりゃそうだよ」
お前のために頑張ったんだからという言葉をグッと飲み込んでトキオが微笑む。
「料理人になれそうだよな」
じーっと顔を見つめてくるカゲミツに、一冊の本を手渡した。
「じゃあそんな俺から誕生日プレゼントだ」
「なんだこれ・・・料理本?」
ぱらぱらとページをめくるカゲミツが不思議そうな顔をしている。
「前に自分でも料理作りたいって言ってただろ?」
だから簡単に出来るレシピをまとめてみました。
トキオの言葉にカゲミツのページをめくる手が止まった。
「トキオが作ったのか?」
「そう、俺特製カゲミツ専用レシピブック」
ニヤリと口を歪めるとポカンとしたカゲミツが目に入った。
男相手に可愛いはないよなぁと思い、緩みそうな顔を引き締める。
「栄養が不足しがちだから考えたんだぞ」
「ありがとう・・・」
感激しているのかじっと本を見ているカゲミツに、何だか恥ずかしくなってしまった。
「わかりやすくしたつもりだけど、わかんなかったら電話してこいよ」
「うん」
「それでもわかんなかったら、手取り足取り教えてやるから」
「はぁっ!?」
穏やかだった表情がその一言で一変した。
今にも噛み付いてきそうなカゲミツにトキオがつい吹き出してしまった。
「冗談だってばー」
笑ってカゲミツの柔らかい髪を優しく撫でる。
本当は手取り足取り教えたいけど、なんて言えずにトキオはやんわりと微笑んだ。
*
カゲミツはトキオ相手やとデレ気味というか素直になると思うんです←
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