▽01/05 00:00

タマキとデートをして、帰り際に頬にキスされた。
天にも昇りそうなほど幸せな気持ちでカゲミツはワゴン車に帰って来た。
ヒカルはキヨタカのところに行くと行っていたから今日の夜は一人だ。
幸せに浸りながら眠ろう。
そう考えているとポケットの中の携帯が震えた。

「もしもし?」
「カゲミツ、今から来れないか?」

電話を掛けてきた相手はオミでカゲミツは顔を歪めた。
しかもこんな幸せな気分のときに来いなんて。

「明日じゃダメなのか?」
「今日じゃないとダメ」

面倒臭そうな声で言ったがオミはどうしても今日じゃないとダメだと言い張る。
結局はカゲミツが折れてオミの家へ向かうことになった。

「おい、来たぞ」

インターフォンを鳴らして不機嫌な声で告げると程なくしてドアが開いた。

「来てくれてありがとう」

オミの嬉しそうな顔を見たら不機嫌な気持ちが少し和らいだ。
少し、だけど。

とりあえず座ってと案内されたソファーに腰掛けると、テーブルの上にはワインとチーズが置かれていた。
似合うからむかつくんだよなぁ。
カゲミツが心の中で悪態をついていると、オミがお待たせと言いながら隣に座った。

「とりあえず飲まない?」

カゲミツの生まれた年のを用意したんだとオミは笑った。
とりあえず乾杯してワインを飲んでいると、オミがごそごそとラッピングされた箱を取り出した。

「カゲミツ、これ開けて」
「なんだよ、いきなり」

押し付けられた箱を渋々開けるとそこには銀のペンダントが入っていた。
驚いてオミの顔を見ると、慌てて目を逸らされた。
いらなかったら捨てていいからと小さく聞こえた言葉に首を振る。

「俺の好みのデザインだ」

言い終えてすぐにつけてみた。
鏡を見たら自分でも似合っていると思えてカゲミツが笑顔を浮かべる。

「ありがとう」
「喜んでくれてよかった」

もう一度ソファーに座りワインを飲みはじめたとき、オミがふと手を伸ばした。
自然な流れで首に光る銀色に触れられ、慣れた動作にカゲミツは少しどきりとしてしまう。

「思った通りよく似合ってる」

しかしオミはそんな様子に気付かずにふわりと微笑んだ。
日付がもう少しで変わろうとしている。

「カゲミツ、誕生日おめでとう」

こうやって祝える日が来るなんて思ってなかった。
オミの言葉にカゲミツは顔が熱くなるのを感じた。
何こんな奴相手にどきどきしてるんだ!
そう思ったところで顔の熱はひかない。

「大事にするから」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」

なんだか気恥ずかしくなってグラスに残ったワインを一気に飲んで立ち上がった。
改めてありがとうと告げるとオミの顔を見ずに部屋を出た。
せっかくいい雰囲気だったのにと呟きはもちろん届かない。

こうしてカゲミツの長い一日は終わった。
こんなに祝ってもらえるなんて幸せ者だ。
カゲミツはそう思いながら眠りについた。



翌日、当然のように首に光るペンダントを見てオミが小さく喜んでいたのは内緒のはなし。

*

最初これをヒカルにしようと思ってたんですが、全部埋めてからオミさんがいないことに気付き変更←
じれったいオミさんを目指してみました


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