▽11/07 02:28
仕事も区切りがつき、そろそろ寝ようかとベッドに横になったとき携帯が震えた。
「なんだ?」
「もしもしも言ってくれないの?」
「こんな夜中に何の用だ」
携帯を耳から離して時間を確認するともう夜中の一時だ。
起きていたとはいえ非常識な上に挨拶を催促されるとは。
不機嫌な声を隠さずに尋ねると携帯から小さくごめんと聞こえた。
一応、反省はしているらしい。
今後は優しく尋ねるとオミが躊躇いがちに口を開いた。
「で、用件は?」
「ちょっとプログラムで聞きたいことがあって・・・」
眠たい頭でしっかりとオミの言葉を聞き取る。
まだ諜報班に来て間もないけど、頑張ろうとしているのが伝わってくる。
事実、数日前に教えたばかりのことをもう学習しているようだった。
「出来た!カゲミツありがとう」
「お前もそろそろ寝ろよ」
「起こして悪かったね」
「じゃあそろそろ切るぞ、おやすみ」
「・・・・・・え、あ、おやす、・・・もう切れちゃった」
呆気に取られている間に容赦なく切られた携帯を見て、オミが息を吐き出した。
少し寝ぼけたカゲミツのおやすみという一言を思い出して、破顔する顔を抑えることが出来ない。
邪険に扱われるのに慣れたせいか、たまに出る無意識な言葉にどきどきしてしまう。
「おやすみ、なんて言われたのいつ振りだろうね」
遠い日の記憶をなぞろうとしたら急に眠気が襲ってきた。
ノートパソコンをぱたんと閉じてベッドにごろんと転がった。
もう一度、カゲミツの言葉を思い出す。
「おやすみ、カゲミツ」
いつか直接言える日が来るといいなんて思いながらオミは瞼を閉じた。
なんだか今日はいい夢が見られそうだ、そんな予感を感じながら。
*
好きな人におやすみって言われたら萌えませんかって話でした←
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