▽09/17 00:49

「イチジョウカゲミツですね?」

カタカタとキーボードを叩いていると突然名前を呼ばれてカゲミツが振り返る。
目の前にはスマートにスーツを着こなした黒髪の男性が立っていた。
周りが手を止めて興味津々というようにカゲミツを見ている。

「あの、どちら様ですか?」
「社長がお呼びです。今すぐ社長室にいらっしゃって下さい」

男はそれだけ告げると驚くカゲミツをよそに踵を返して歩き出してしまった。
声を掛けようにも名前が分からず口ごもっている間に、パタンと音を立ててドアが閉められた。
周りからの好奇心に溢れる視線が痛い。
一体何をしてしまったのだろうと不安に駆られながらカゲミツは部屋を出た。


コンコンコンと三回ノックをしてから失礼しますとドアを開く。
社長室の前にまず秘書室があるらしく、入ると先程の男が無表情のまま座っていた。

「社長がお待ちです」
「俺、何かしたんですか?」

カゲミツが不安そうに聞いても男の顔は変わらない。

「すべて社長からお話します」

どうぞ中へとドアに手を向けられてひとつ大きく深呼吸してから腹を括った。
入社して半年、自分では特にミスもなくやっていたつもりだったがつもりだけだったのかもしれない。
もう一度ノックをすると、中なら明るい声が聞こえてカゲミツが目を瞬かせる。

「やっと来たね、イチジョウ君」

ドアを開いたまま立ち尽くすカゲミツを社長が笑顔で迎え入れる。
とりあえず座ってよと促されるままにソファーに腰掛けた。

「ヒサヤ、お茶出して」

紅茶がいいなと言う声は浮かれているように聞こえてカゲミツの頭がさらに混乱する。
ヒサヤのかしこまりましたという声を聞いてやっと社長がカゲミツの前に座った。

「突然呼び出して悪いね」

周りに見られたんじゃないの?と明るく言う社長にカゲミツは何も答えることが出来ない。
怒られるつもりで来たのに調子が狂う。
ヒサヤと呼ばれた秘書が入って来て二人の前にティーカップを置いて出て行った。
社長は美味しそうにティーカップに口を付けている。
さすがにこの状況で紅茶を飲めるほどカゲミツの心臓は強くない。
自分から言い出すのもと思ったが沈黙に耐え切れず口を開いた。

「あの、お話というのは」
「あぁ、そのことなんだけどね」
「クビ、ですか?」

大変だったが充実して楽しかった半年間の生活を振り返る。
ここに来るのも今日が最後かと思っていると社長が不思議そうな声を上げた。

「どうして?」
「社長直々に呼び出しなんてそれしか考えられません」
「まさか!君は当社にとって必要な優秀な人材だよ」

みすみす手放すなんてとんでもないと社長は手を振った。
じゃあなんでと目を瞬かせるカゲミツに社長がニコリと綺麗に笑う。

「君に専属の秘書になって欲しいんだ」
「・・・え?」

*

っていう感じで続きものが書きたい。
思い付きしかありませんが←
ありがちな感じですよね←
どうせならこっそり公開しようか思案中。
(ここも割とひっそりですが)

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