▽09/02 00:28
「カゲミツ君、どうしたの?」
「今日午後から降水確率70%だぞ」
「こんなに晴れてるのに?」
そう言って空を見上げる。
空には少し雲があるものの太陽が顔を覗かせている。
とても傘が必要になるようには見えなかった。
ちらりとカゲミツを見ると言いたいことが分かったのかむすっとした表情だ。
「雨が降っても入れてやんねぇからな」
そう言ってずんずんと一人歩き始めてしまった。
はぁ、と小さくため息をついてカゲミツの後を追う。
キヨタカの指示とはいえ二人きりになるのは少し気まずかった。
ほとんど会話のないまま頼まれていたものを買い終わり店を出た。
ぽつりぽつりと水滴がアスファルトを濡らしていて空を見上げる。
「雨だ・・・」
ぽつりと呟いてカゲミツをちらりと見ると傘を開こうとしていた。
さっきの言葉を思い出して、そのまま一歩足を踏み出すと頭上で雨が跳ねる音がした。
「俺は入れてくれないんじゃないの?」
「お前が風邪ひいたらタマキが心配するだろ」
「・・・カゲミツ君、ありがとう」
「その代わり荷物持てよ」
二人並んで無言の帰り道。
先程まで感じていた気まずさはもうない。
「カゲミツ君って意外と優しいんだね」
「うっせ」
ぷいっとそっぽを向いた横顔がなんだかとても可愛い。
急に愛しさが込み上げてくるのを感じながら帰り道を歩いた。
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