▽08/12 00:41

「着替えオッケー、タオルオッケー、」
「カゲミツ、それさっきも確認したでしょ?」

何度もカバンを開けて自作の持ち物リストと照らし合わせるカゲミツにオミが苦笑する。
いくら楽しみだからって一時間に一回はさすがに多過ぎる。

「忘れ物したら嫌だろ」
「みんないるし、何とかなるよ」

そう、J部隊みんながいるのだ。
お人よしのJ部隊のメンバーだ。
カゲミツが困っていればきっとみんなが助けてくれる。
カゲミツが持ち歩く用のポーチを開けて中身を取り出す。
所謂夏フェスといわれるイベント名が書かれたチケットを見て、穏やかに微笑む。

「楽しみだな」
「そうだね」

ふわりと笑うカゲミツにオミもつられる。
さっき見た天気予報は嬉しくないことを言っていたけれど。
きっと外れるとオミは確信している。

「カゲミツ、早く寝ないと明日起きれないよ」

カゲミツの肩を軽く叩いて寝室へ促す。
チケットを大事そうにしまうカゲミツが愛しい。
手をひいて立ち上がるとぎゅっと握られた。
明日からは諜報の仕事をしているカゲミツには体力的に辛いかもしれない。
今日はゆっくりと眠ろう。
そう考えて寝室のドアを開いた。


真っ暗な寝室で何度も寝返りする音が聞こえる。
ベッドに入って一時間は過ぎている。
きっと楽しみ過ぎて眠れないんだろう。
子供みたいだなとオミは心の中で笑った。
ごろりと寝返りする音がまた聞こえた。
壁の方を向いていた首を少し動かすとカゲミツと目があった。

「・・・眠れないのかい?」
「なんか楽しみでさ、ガキみたいだよな」

ハハッと笑ったカゲミツを体の向きを変えてぎゅっと抱き締める。
素直に心情を伝えてくれるようになったカゲミツが、愛しくてたまらない。

「なんだよ」
「カゲミツが好きだなって思って」
「バカ、早く寝ろよ」
「カゲミツもね」

引き寄せた頭に唇を寄せる。
口では文句を言うが大人しく抱かれているカゲミツにくすりと笑う。
そういうところも子供っぽくて可愛いんだけど。
言うと腕の中から逃げ出してしまうから言わないでおこう。

「おやすみ」

その言葉の代わりに聞こえてきたのはすやすやとした寝息だった。

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