▽02/02 23:54

「あ、雨だ」

ぽつりと手を濡らした雨粒は瞬く間に勢いよく降り始め、オミとカゲミツは近くの店の軒下に入り込んだ。
ざーっと音を立て降り出した雨を見てついてねぇとカゲミツが溜め息を吐き出した。

「雨予報にはなってなかったんだけどね」
「どうせ通り雨だろ」

すぐに止むだろうと決め付けたらしいカゲミツが壁にもたれ掛かった。
傘は持ってきていないし、ここからコンビニまでそこそこの距離がある。
傘のことを考えるのをやめて、オミも同じように壁にもたれ掛かった。

*

それから10分が経った。
雨は弱まるどころか勢いを増して降り続けている。
ちらりとカゲミツを見遣ると同じようにカゲミツもオミを見ていた。
数秒間、無言で見つめ合ってみたけれど状況は変わらない。

「雨、止まないね」

そう言ってみても、どうしようもないのだけれど。
案の定カゲミツは黙って降りしきる雨を険しい表情で見つめている。
だからねぇカゲミツと話し掛けてみた。
ちらりとこちらを見たということは、一応話は聞いてくれているらしい。

「せっかく二人でいるのに何もしないなんて、勿体ないと思わない?」

一歩進んでカゲミツに近付くと、大きく体をひかれた。
恋人だというのにつれない。
だから腕を取って逃げないようにし、顔を近付けるとグイッと背けられた。

「誰かに見られたらどうするんだよ」
「こんな雨の中誰も歩いてないだろ?」

元々人通りは少ない道だけど、雨のせいか人っ子一人歩いていない。
だから外ではあるけれど、雨が止む間少しくらいイチャイチャ出来ないかと考えたオミだったが思いっきり手を振り払われた。

「そんな事されるんだったら濡れた方がマシだ!」

ズカズカと雨の中早足で歩き始めたカゲミツの後ろを慌てて追い掛ける。

「風邪ひくよ」
「ひいたらヒカルに看病してもらう!」

とことんつれないけれど風邪をひかれる訳にはいかないので軒下に引き込もうと腕をひこうとしたら、雨の勢いが少し弱まってきた。
降る時もあっという間だったが、晴れる時もあっという間だった。
カゲミツへと伸ばした宙ぶらりんの手を引っ込めて、顔を覗かせた太陽を見上げる。

「もうちょっと後から出てきてくれたらいいのに」

そうしたらカゲミツのデレの部分が見れたかもしれないのに。
はぁと重い溜め息をつきながら、オミもカゲミツの背中を追い掛けた。


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