▽04/14 00:25

いつもならば、もう朝食も終えて出勤の準備をしているはずの時間なのに。
痛む腰をかばいながらベッドカバーの下を確認してみるが、目的のものは見つからない。

「キヨタカ隊長、俺のベルト知りませんか?」
「さあ、知らないな」

ワイシャツ一枚で部屋中を探し回るトキオに対し、キヨタカはゆっくりとシャツに腕を通している。
楽しそうに歪められた唇がむかつくけれど、ここは黙っておく方が得策だろう。
床に膝をつけて目を凝らしているといい眺めだというキヨタカの声が耳に入った。

「だいたいアナタがどこかへやったんだから一緒に探して下さいよ」

ちらりと時計に目をやると、いつもならばミーティングルームに到着している時間で溜め息をついた。

「まだ時間はあるだろう」
「俺はいつもだともう到着してる時間なんです」
「たまには遅くなってもいいじゃないか」

そう言いながらキヨタカはスラックスに足を通している。
やっぱり足が長いなと見惚れかけて我に返った。
そんなことをしている暇はない。
思い出したくはないが、仕方なく昨日の記憶を辿る。
バンプアップで少し飲んだ後、キヨタカの家に連れ込まれた。
玄関のドアを閉めるなり激しいキスをされて、気付けばベッドに転がされていた。
どこでベルトを抜かれたかなんてさっぱり思い出せない。
シャツやスラックスはこの部屋に落ちていたのだから、当然ベルトもここにあると思っているのだけど。
考えても仕方がないので寝室のドアを開けると、探していたものはソファの上に投げ捨てられていた。
そこまでキスに溺れていたのだとと思い知らされて頭を抱える。

「あぁ、あんなところにあったのか」

着替えを終えたキヨタカがしれっとそう言った。
あの顔は絶対に知っていた顔だ。
恨めしそうに見上げても笑顔でかわされる。

「早く出たいんじゃなかったのか?」

そう言って差し出されたスラックスをふんだくるように受け取って足を通した。
さてようやく準備万端と玄関に立つと、キヨタカに腕をひかれた。

「ひとつ忘れ物があるぞ」
「なんでしょうか?」
「行ってらっしゃいのキスだ」

そう言って掠めるように奪われた唇に唖然としてしまう。
その様子を見ているキヨタカの人の悪い笑顔が憎らしい。

「ほら、行くぞ」
「分かってますよ」

だけど、たまにはこんな朝も悪くないかもしれない。
そう思ったけれどキヨタカには絶対伝えるもんかと決めて、トキオは歩き出したのだった。

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