▽07/31 20:08

「ねぇねぇカゲミツ、使い方教えてよ」
「だからヒカルに聞けって言ってんだろ」

先ほどから何度目かになるやり取りに見ているヒカルがため息をつく。
教えてくれと言うオミと頑なに拒否するカゲミツ。
だいたいカゲミツがついったーなんてする訳ないだろと思うのだが、オミはどうしてもカゲミツに教えてもらいたいようだ。
しばらく思案した後、またカゲミツに声を掛けようとするオミを正直鬱陶しく感じていた。
そんな二人にふと名案を思い付いた。
オミがカゲミツの名前を呼ぶその前に、ヒカルがオミを呼んだ。

「オミ、ちょっとこっち来いよ」
「ついったーならカゲミツに教えてもらうよ」
「カゲミツに教えてもらいたいなら来い」

その言葉に訝しげではあるがオミはやってきた。
ひょいひょいと手を動かして近寄るように促す。
カゲミツはパソコンに夢中なようでヒカル達の会話などまるで入っていないようだ。

「名案を思い付いた」
「もったいぶらずに教えてよ」
「タマキが始めればカゲミツもやるんじゃね?」

俺って天才だなと笑うヒカルと、真顔で考え込むオミ。
二人の間に少し沈黙が流れた。

「とりあえずタマキに言ってくるよ」

オミはそう言って、ワゴン車の扉を開けた。


数時間後、オミの説得によってやる気を出したタマキがカゲミツの前にいた。
ついったーを教えて欲しいんだと上目遣いでタマキに見られたカゲミツに拒否する選択肢などなかった。
こほんと咳払いをひとつし、タマキと二人でひとつのパソコンを覗くカゲミツは心底嬉しそうだ。
その後ろで不機嫌そうな顔をしているオミと、オミの話によってやる気を出した一人のカナエなどまるで見えていないように。

「まずはアカウントを登録しないとな」

タマキには懇切丁寧に、あとの二人には適当に教えてカゲミツのついったー講座は終了した。

「じゃあ早速うちに帰ってやってみるよ」

そう言ってミーティングルームを出て行ったタマキを見送って、カゲミツは早速ついったーをブックマークに入れた。


[tamaki 今から食事なう。これでいいのか?]
[kanae 今からタマキ君とご飯です。]

「あ!タマキがついーとしてる・・・ってカナエとご飯だと!」

パソコンを目の前にして声を上げるカゲミツをヒカルが冷ややかな目で見る。
ついったーなんかするもんかと言ってたいたカゲミツが今や夢中になってパソコン画面を見つめている。

「俺もタマキと一緒に飯食いたいなっと、よし」

画面を見てだらしなく顔を緩ませているカゲミツに言葉も出ない。
名案だと思ったけれど、早速失敗したなという気持ちを隠しきれないヒカルだった。

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