▽02/27 02:36

最初に食生活が心配だと声を掛けたのは単純にお節介だった。
タマキにフラれ寂しさを紛らわすように仕事に打ち込むカゲミツを見るに見兼ねてつい声を掛けてしまった。
最初は怪訝そうな顔を見せたカゲミツだったがそのときはとにかく寂しかったらしい。
じゃあ今夜行くわと言われたときに、すべてが始まったのだ。

食後、ソファーでダラダラとテレビを見ているカゲミツに今日の料理の出来を尋ねる。

「今日はどうだった?」
「今日も美味かったに決まってるじゃん」

いつもより手が込んでただろ?と気付かなくていいところまで言い当てられ、笑ってそれを受け流す。
こんな風に会話が出来るようになったのは、いつ頃からだっただろうか。
初めて家に呼んだ日、話し掛けても会話が続かず重い空気のまま食事をしたものだ。
だけど料理を食べた後カゲミツの反応か微かに良くなったのがわかった。
男心は胃袋で掴めというけれどあながち間違ってもないなと思ったのを覚えている。
まさかその先本当の意味でそう実感する日が来るとまでは思っていなかったけれど。
カゲミツが家に来るようになって、少しずつ会話をするようになって、その中でお互いを知っていって。
いつの間にかただのお節介と呼ぶには大き過ぎる感情を抱えるようになっていたのだ。

洗い物を終えて缶ビールを二つ冷蔵庫から出してカゲミツの隣に座った。

「飲むのか?」

普段は休みの前日にしか飲まないようにしているが今日はそういう訳にもいかなかった。
こくんと頷くとカゲミツが訝しむ表情でトキオを見た。

「おまえ、今日様子がおかしくねーか?」

緊張していることすら悟られている。
だからプシュッと缶ビールのプルタブを開けて一気にそれを流し込んだ。

「カゲミツ、ちょっと話を聞いてくれるか?」

なんだと振り返ろうとしたカゲミツを後ろから抱き締めて留める。

「なんだよ」
「こっちは見ずに聞いてくれ」

そう言うとあっさりと動くのをやめたカゲミツの肩に顔をのせる。
嫌がる素振りはない。
カゲミツのお腹の前で結んだ手に少し力を込めて距離を近付けても抗議の声は上がらない。

「カゲミツ」
「ん?」
「大事にするから付き合ってください」

冗談と取られないようにこれ以上ないくらい真面目に伝えたのに、一瞬の間の後カゲミツは笑った。

「馬鹿だな」
「…」
「もう十分大事にされてるよ」

そう言われて呆気に取られる。
言ってから恥ずかしくなったのか顔を赤くしているカゲミツにこっちまで照れてしまう。

「おまえ、それすげー殺し文句だな」
「うるせえバカ!今すぐ忘れろ!」

ぎゃあぎゃあと騒いでいるが顔を近付けると大人しくなった。
そのまま黙って目を閉じたカゲミツに軽くキスを落としたのだった。

*

ついった診断メーカーより
トキカゲの告白は真面目な顔で後ろから抱きつきながら、「大事にするから付き合ってください」と言う。というものです。
トキカゲにとてもよく合うお題だと思いました∧( 'Θ' )∧
意外と慣れてない感じっぽいお兄さんもいいと思います

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