▽01/08 00:00
「俺もパソコン使えるようになりたいから教えて」
数日前にそう言われ、カゲミツはカナエと二人で帝都にある電気街に来ていた。
壊してもいいようにまずはパソコンを買うところから始めたい、ということらしい。
「これなんかどうだ?」
普段ヒカルやカゲミツが使っているような高性能スペックのパソコンを買ったところで猫に小判、豚に真珠だ。
だから比較的手頃でそんなに操作の難しくないやつを選んではどうだと聞くがカナエは素直に頷かない。
なんかもうちょっと簡単そうなやつやらいつでも聞きに行けるよう持ち運べるやつがいいやら。
小さなところに目をつけてはうーんと首を振っている。
っていうかわからないときに聞きに来るつもりなのか。そんなの絶対御免だ。
「じゃあ自分で選べよ」
「そんなの無理だよ」
呆れて突き放すと無理だと言ってすがり付いて来る。
ここでそのまま突き放してしまいたいが、タマキに知られたら薄情者と思われるかもしれないと我慢する。
一日中うろついて、結局カゲミツが一番最初に勧めたものをカナエは選んだ。
普段人ごみを歩きなれない上に、相手はカナエだ。
疲労困憊のカゲミツにカナエが申し訳なさそうに眉毛を下げた。
「お礼に今日の晩ご飯はおごるよ」
「それくらいやってもらわなきゃ割に合わねーだろ」
意外とお洒落な居酒屋に連れていかれ、帰る頃にはすっかりといい気分になっていた。
「またわからないことがあったら教えてね」
「おう、任せとけ」
なんて酔っ払ったテンションで約束してしまった自分を呪いたい。
その上翌日ヒカルに昨日カナエとデートしてたななんて言われてしまい、憂鬱な気分が増したのだった。
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