▽01/06 01:45

時は深夜、ワゴン車の中で作業しているとお腹が空いてきた。
そういえば晩飯は栄養ドリンクしか採ってないことを思い出して、財布を片手に上着を羽織った。

「ちょっと買い出し行ってくる」
「俺も行きたいからこのまま行く?」
「こんな車で行けるかよ」

車体にはでかでかとアニメキャラクターの女の子が描かれている。
ちょっと目を離した隙にマスターにやられてしまったのだ。
それもそうだねと納得したオミもコートを着て、二人でワゴン車の外に出た。

「さみぃー」

ワゴン車の中も快適とは言えないが、ワゴン車の外はもっと寒かった。
地下駐車場だというのに吹き抜けてくる風にぶるりと震えて、手をポケットに突っ込んだ。

「カゲミツ」
「なんっ…!!」

後ろから呼ばれて振り向きざまにキスされるなんて、誰が予想出来るだろか。
咄嗟に唇を押さえたカゲミツと、何食わぬ顔でいるオミ。

「お、お前何すんだよ…!」
「カゲミツが寒いって言うから」
「誰かに見られたらどうするんだ」

ここは地下駐車場だから部隊の奴ら以外に見られることはない。
だが部隊の奴らに見られた方が厄介だ。
翌日ミーティングルームでからかわれるのが目に見えている。

「誰も来る訳ないよ」

オミがそう言うのも一理ある。
ヒカルは今日もお泊まりだし、それ以外の奴らがこんな時間に来るとは考えにくい。
けれども来る可能性は0ではない。

「まあ今回は誰も来なかったんだしいいじゃん」

それに怒って暖まっただろ?とほっぺたを摘ままれた。
確かに先ほどまで感じていた寒さは少しマシになっているが腑に落ちない。
不満気な表情をそのまま顔に出すとオミが真顔で後ろから抱き付いた方がよかった?なんて言いやがる。

「絶対嫌だ」
「そう、つれないね」

照れて赤くなっておかげで暖まったくらい言ってくれたら可愛げがあるのに。
なんてぶつぶつ言っているが知ったことか。

「おまえは寒くねぇのかよ」
「もちろん寒いよ」

カゲミツが暖めてくれるの?と言いかけたオミの耳にふーっと息を吹きかけた。
途端に少し赤らんだ頬を見て満足する。
オミはこういう不意打ちに弱いのだ。

「カゲミツ、さっさとコンビニに行くよ」

冷えた指先を強く絡められ、コンビニから出た後数時間の寄り道をさせられることになるなんて、このときのカゲミツには知る由もなかった。

*

煽ったのはカゲミツの方だと思います←
書き始めたらバカップルなおみかげが出来上がって自分でめっちゃ困惑
タイトルはエイトからですが歌詞は関係ないです
ライブでやって欲しい

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