▽04/22 00:23

深夜、ふとある事件の資料が読みたくなってトキオはミーティングルームに向かった。
こんな時間に誰もいないだろうとドアを開くと予想外にそこには電気がついていて。
一瞬隊長達がお楽しみ中かと考えたが不埒な雰囲気は感じない。
ならばと思って思い切って足を踏み入れてみたが人の気配を感じない。
消し忘れかと思ってトキオが自分のデスクに辿り着いたとき、ようやく電気がついていた理由に気が付いた。
探していた資料を一旦デスクに置いて、そちらに近付く。

「こんなところで寝てたら風邪ひくぞー」

ソファの上でブランケットもかけずに爆睡しているカゲミツにそう声を掛けた。
一応声のボリュームは抑えたので身動ぎひとつしない。

「こんなところで寝てたら悪いオオカミさんに食べられちまうぞー」

もちろん冗談のつもりだけど、この職場は同性間での恋愛にさして抵抗がないようだし?
カゲミツの頭の下でグチャグチャになっているブランケットを引っ張り出してお腹のあたりにそっとかけてやる。
めくったツナギから見える腕は確かに男だけど色の白さと細さについ目を見張ってしまう。
コイツ、ちゃんと飯とか食ってんのかなぁとついお節介な気持ちを覗かせてしまう。
そっと触れてみると筋肉が殆どない。
これはさすがに運動とかした方がいいんじゃねーの?
今度外に連れ出してみるかと計画を立てながらふと顔を見た。

「黙ってたら本当綺麗な顔してるのにもったいねーよなぁ、…あ?」

もったいないって、何が?
モテそうなのにもったいないか、そうか、そうだ。
いやでもあの口の悪さでもこの見た目だったら女の子たちはキュンとするかもな、うんうん。
なぜかざわついた自分の心を鎮めるためにぐるぐると頭を回転させて一人で頷く。
綺麗な顔なのにもったいないとか、俺本当何考えちゃってんの。
確かに細くて心配になるし、守ってやんなきゃって思うし、ツンデレな感じが可愛いんだよなぁって、え?
守ってあげたいってのはもちろん仲間としてだし、可愛いっていうのはまるで弟を見るようなものだ、し…
一体俺何に言い訳してるんだろ?
俺も男でコイツも男。
さてそろそろ帰ろうかと思って時計を見ると、ここに来てから30分もの時間が過ぎていた。
え、30分もカゲミツの寝顔見ながらぐるぐる考えてたの?
まじかよって気持ちと同時にもうちょっといいじゃんという気持ちが湧き上がる。
もうちょっといいじゃんって何だよ、確かにこんなにじっくりコイツの顔を見る機会はないけれど。
なんかそう思うともうちょっとここにいてもいいかなぁって思えて来て、自分に驚愕しながらも足は一向に動かない。
もうちょっと、もうちょっとだけカゲミツといたいんだよな。
ぼんやりとした頭に浮かんできた言葉に再び驚愕。
え、俺何言ってんの?
カゲミツといたいって何?
それってまるで、

「俺がカゲミツのこと好き、みたいじゃん」

口に出すと今まで輪郭がふわふわとしていたものがちゃんと形になってすとんと胸に落ちてきた。
……………そうか。
俺、カゲミツのことが好きだったんだ。
自分でも今気付いたけど。
そう思えば爆睡した寝顔もなんだか愛おしく感じてきて、ソファの上に散らばった金髪にそっと手を伸ばした。
柔らかな手触りにゆっくりと指を通すとカゲミツがんっと小さく声を上げた。
起きたかと思ったけれどそうではなかったらしくカゲミツは規則的な呼吸を繰り返している。
だからこれは自分に対しての宣言だ。

「明日から全力で落としにかかりますか」

この俺が惚れたんだから、覚悟しとけよ?
そう呟いてトキオはミーティングルームを後にしたのだった。


*

これ、プロット(ってほど大したものではないですが)はかなり前に出来てたけどなんか恥ずかしくて今まで書けませんでした
書いた結果、やっぱりちょっと恥ずかしい気分になりましたが、おにーさんに明日から全力で落としにかかりますかってどうしても言わせたかったんです

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