▽08/08 16:48

「安心して、邪魔者は消したから」

笑顔で言うカナエにカゲミツが目を瞬かせる。
少し仮眠をと思って眠ってしまったのがいけなかったのか。
周りを見渡せば既に真っ暗で、時計を確認しようとしたところにカナエが先ほどのセリフを言い放ったのだ。
訝しい表情のカゲミツに気付いているのか気付いていないのか。
カナエはいつものような表情でカゲミツの隣に座る。

「俺は帰るぞ」
「せっかく待ってたのにそんなこと言うの?」

本当に帰ったらどうなるか分かってるよね?
カナエはそう言ってちらりと黒く鈍く光るものを見せ付ける。
言うまでもない、拳銃だ。
カゲミツが驚いて目を見開いたのを見てカナエはくすりと笑う。

「・・・冗談だよ」

そう言って拳銃を懐にしまう。
カゲミツは何度もカナエに撃たれているのだ。
はっきり言って冗談には聞こえない。

「カゲミツ君、これから予定ないよね?」

予定はないがなぜそんなことを聞かれるのか分からない。
何となくここで頷いてはいけないような気がしてカゲミツは首を横に振る。

「この後は予定がある」
「さっきまでぐっすり眠ってたのに?」

嘘をつくのも見抜くのも得意だよと笑うカナエにカゲミツは頭を抱える。

「これから遊びに行こうよ、二人だけで」
「なんで俺が行かなきゃなんねぇんだよ」

嫌だと言わんばかりに立ち上がると、強い力で腕を引っ張られてソファーの上に逆戻りだ。

「イエスしか聞こえないな」

カナエってこんなに強引な奴だったっけ?
カゲミツが考えていると優しく髪を梳かれて目を見開く。

「好きだよ、カゲミツ君」

ちゅっと音を立てて触れられた頬を押さえる。
今何された?っていうか何て言った?
ぐるぐるぐるぐる、カゲミツの頭が混乱する。
恋敵であるはずのカナエに告白された?
まさかそんなことがある訳ない。

「冗談はよせよ」

そんなこと言っても諦めないぞと語気を強めて言う。
しかしカナエは余裕のある笑みを浮かべているだけだ。

「冗談なんかじゃないよ」

もう一度耳元で好きだよと囁かれてぶるりと震える。
こんな低くて甘い声、今まで聞いたこともなかった。

「有り得ねぇ」
「俺を振るつもり?」

どうやらカゲミツに拒否権なんてないようだ。
次は唇に落ちてきたキスを受け止めながら、カゲミツの頭はさらに混乱していくのであった。

by確かに恋だった様(黒っぽい彼のセリフ)

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