▽05/22 23:14

それは接待のような飲み会に付き合わされた帰り道に出会った。
あー疲れたと自宅マンションの前にようやく辿り着き、暗闇の地面の上でごろりと何かが蠢いた。
電灯を頼りになんだと近付いてみると…

「う、っわぁ!」

ごろりと転がっていたのは人間でカゲミツは思わず小さな叫び声を上げてしまった。
咄嗟の判断で、時間を省みて大声を出さなかった自分を褒めてやりたい。
いや、だってごくごく普通の閑静な住宅街で地面に人が転がってるとか考えられないだろ。
すぐに警察に電話しようと携帯を取り出して、はたと気付いた。

「別に死んでるって決まった訳じゃねぇよな…?」

もしかしたらその可能性もある。
そんなものを見てしまったら間違いなくトラウマだ。
だけど警察に通報して疑われるのも嫌だ。
とりあえず生きている可能性を信じて、手探りで触れてみた。

「…あたたかい」

とりあえずは生きている、と思う。
だから今度はゆさゆさと身体を揺さぶってみた。

「こんなところで寝てたら風邪ひく、っつうか通報されるぞ」
「…あ、」

小さく吐き出された声で目の前の人物が男だということを悟った。

「酔っ払いだかなんだか知らねーけどこんなところで寝るな、家に帰れ」

こんなところで転がってるなんて100%酔っ払いだ。
酔っ払いは絡まないに限る。
適当に起こして、さっさと部屋に退散しよう。
そう思っていると揺すっていた腕をがしりと掴まれた。

「助かった…」
「は?」
「お兄さん、よかったら俺を拾ってくれませんか?咬みません。躾のできたよい子です」

一瞬、何を言われているのかわからなかった。

それがカゲミツとトキオが初めて出会ったときの話だ。
まだ春は少し遠い、肌寒い夜のことだった。

*

ついったにも書きましたが、トキオの拾ってください云々は呼びかけを変えただけであとは帯のまんまです
帯もトキオやなぁと思ったけど中身もトキオでした


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