▽07/27 21:43

「っしゃ!」
「今日は勝ったの?」

夕飯の片付けをしながらカウンターキッチンの先でテレビを食い入るように見るカゲミツに声を掛ける。

「おう、今日はエースが完封勝利だ」

嬉しそうなカゲミツにオミも思わず笑顔がこぼれる。
一緒に暮らすようになって初めて知ったが、カゲミツはとある野球チームのファンだ。
勝った負けたを気にするくらいかと思っていたら、勝敗によって機嫌が左右されるほど熱心なファンで驚いたのも懐かしい話だ。
美味そうに喉を鳴らしてビールを飲む姿を見てオミはホッと息を吐き出す。
今日は久し振りに機嫌の良い夜を過ごせそうだ。
食器を棚に戻して、自分もビールを持ってカゲミツの隣に座る。
甘えるように体を寄せても拒絶されることはない。
野球に興味はないけれど、このためカゲミツと同じチームを応援してしまうのだ。

逆に負けた日と言えば酷いものである。
シーズンを通して圧倒的に多いこの状況をオミは心の中で嘆く。
応援するなら、もっと強いチームを応援してくれればいいのに。
それでも熱心に応援を続けるカゲミツにそんなことは言えない。

「カゲミツ、お風呂沸いたよ」
「今入る」

そそくさと準備をして風呂場に入ったカゲミツを見てため息をひとつ。
たまには一緒に入りたいなぁー、恋人同士なんだし・・・。
そんな甘い考えは敗北の前にあっさりと崩れ去ってしまう。

「あー、今日もまたお預けか」

一人ごちて、スポーツニュースが流れるテレビを消した。
上位争いをするチームの情報なんて、オミにはまるで興味のないことだ。


「オミ?」

応援するチームの勝利を伝えるスポーツニュースを見ながらそんなことを考えていると、カゲミツに声を掛けられた。
ん、とすぐ下にある顔を見ると幸せそうに微笑むカゲミツと目が合った。
ほんわかとした笑顔に心が蕩けそうだ。
ゆっくりと首に回された腕に幸せだと心から思う。
今夜は素敵な夜になりそうだ、近付いてきた唇にゆっくりと瞳を閉じた。

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