▽11/20 01:00

今まで来たこともない街の中、適当なホテルの前で二人は立ち止まった。

「ここなんてどう?」
「俺はどこだっていいって言ってるだろ」

絡めた腕を引っ張って、早くとタマキはアラタを誘う。
適当な空室を選んで、二人はエレベーターに乗り込んだ。

エレベーターで顔を近付けてきたタマキを押し止めて部屋に入る。
途端に飛び付いてきそうなタマキを先にバスルームに向かわせてアラタは一息ついた。
タマキのあの様子なら寝首を掻かれることはないだろう。
しかし念のために武器と居場所を特定されそうなものを確認し終えたところに、タマキがバスルームから出て来た。
濡れた髪から水滴を滴らせ置いてあったバスローブを誘うように大きく開いている。

「シャワーなんていいから」

下品な色のソファーに腰を下ろしていたアラタの手を取って強く掴む。
ベッドへと進もうとしたようだけど、動こうとしないアラタに焦れて膝に乗り上げてきた。
首に腕を回して近付いてきた顔に横を向いて逸らす。

「歩いて汗かいちゃったから僕もシャワー浴びてくるよ」

不満そうな顔を見ながらタマキを膝の上から下ろす。
こういう表情はあまり変わっていないんだなと思いながら、アラタはバスルームに向かった。

*

バスルームから出てくると、待ちくたびれたと言わんばかりにタマキが近付いてきた。
バスルームのドアに押し付けられて、逃げられないように足を絡めて顔を近付けてきた。
今度は背けることなくアラタからも顔を近付ける。
バスローブを脱がそうとする手をやんわり押し止めながら、アラタは初めて唇を重ねた。
触れるだけ、なんて優しいものではなくて貪るように深く。
タマキの手はバスローブを脱がすこと諦めて、アラタの身体に指を滑らせている。
しばらく立ったままで唇を貪っていた二人だったが、漸く顔を離した。
細い銀糸が二人の唇を結んでいるのが淫靡だ。
それをぺろりと舐めとってタマキがグッと体重を掛けてきた。

「あんまり焦らすなよ」

まさに欲情している。
そんな顔で見上げられ、アラタはようやくベッドへと移動した。
早速バスローブを脱がそうとするタマキを手で制す。

「抱かせてくれるんでしょ?」
「ああ、抱かせてやる」
「なら僕のやりたいようにやらせてよ」

不満そうに口を開こうとしたタマキをアラタが遮る。

「焦らすな、でしょ?」

クスッと笑ったアラタの顔はタマキの中にある無邪気な一面を遺しながらも大人っぽくなっていた。
ベッドに横たえられた耳元でタマキの知らない低い声でアラタが囁く。

「主導権は僕だからね?」

勝手なコトしたら僕、帰るから。
もう手が触れられそうなほど近くにあるのに、それをみすみす逃す訳にはいかない。
不本意ながらもタマキは大人しくベッドに横になった。

アラタがゆっくりとバスローブを脱がす。
肩や腕に手が触れる、ほんのそれだけのことでタマキの熱は高められる。
人肌の温もりに触れることが久し振りだった。

「んっ」
「手が触れただけで感じちゃうの?」

相変わらず感度がいいんだねと揶揄されて過去のことを思い出した。
ゆっくりと近付いてきた唇が首筋を舐め上げる。

「ア、ラタっ」

早くと絡めた足ははダメだよというアラタに押し戻された。
こんなに時間を掛けるセックスは久し振りだ。
最近はがむしゃらに身体を重ねるばかりだった。
頬をなぞっていた手が首を通り胸元まで下りてくる。
キスしただけなのに勃ち上がったそれを指先で摘まれて思わず声が漏れる。

「ここ、キスしただけなのにもうこんなにコリコリだね」
「だからひさしぶり、なんだっ」
「ねえ、こんな風になる程カナエ君とセックスしたの?」

耳元で息を吹き掛けるようにアラタが笑う。
それが緩い刺激になり、激しさに慣れた身体にはもどかしくて仕方ない。
上体をよじるとアラタがへぇと興味深そうに顔を覗き込んだ。
片手で胸を弄びながらさっき指でなぞった通りに唇を落としていく。
くすぐったいような愛撫にタマキはアラタの背中に腕を回した。

「こうやってカナエ君も誘ったの?」
「違っ、あぁっ」

上気させた顔はさっきの蠱惑的なものとは違う。
胸元に舌を這わすとタマキが高い声を上げた。

そのまま手を下半身にまでやると、タマキのそれは触れてもいないの先走りを垂らしていた。
少し指で触れると一気に硬さが増した。
片手は胸に置いたままそれを頬張ると、タマキが一際高い声を上げた。

「ダメっ」
「どうして?カナエ君にしてもらってるんでしょ?」
「しゃべっ、ないで!」

口に入れたまま喋るとそれが堪らないのか嫌々とタマキはかぶりを振った。
パンパンに張り詰めたそれは今すぐにでも達してしまいそうだ。
だからグッと根元を握り込んだ。
えっと戸惑った顔をしたタマキに思わず笑みがこぼれる。

「最初に言ったでしょ?主導権は僕だって」

根元を握ったまま上半身の愛撫を再開させる。
涙目で快楽に耐えている姿は再会したときの誘うような空気は消えていた。
子供のように声を上げながら身体をくねらせているタマキはアラタの劣情を煽った。

「焦ら、すなよ・・・!」
「ウソだ、今すっごく気持ちいいくせに」

せき止められた先端をつつくとタマキが大袈裟に身体を揺らした。
そんなことないと切れ切れに言っているけれど、身体は正直だ。
色付いて存在を主張する乳首に吸い付きながら手を離すと高い声を上げながらタマキが達した。
手を濡らした白濁を指で遊びながらアラタが笑う。

「濃いしいっぱい出たね、本当に久々だったんだ」

クスクス笑ってまだ息の整わないタマキの秘部に手を伸ばした。
つんつんとつつくと、興奮からかぶるりと身体を震わせた。

「ここに欲しいんでしょ?」
「は、あっ」

言葉にならない声しか出さないタマキをちらりと見て、ぷつんと指を差し入れた。

あれだけ厭らしい雰囲気を纏っていたのにタマキの中はぎゅうぎゅうと締め付けてきた。
苦しそうには見えなかったからどんどん指を進めていいところを探る。
ある一点に触れたときタマキが声を上げた。

「ここがいいの、タマキちゃん?」

わざとさっきとは違うポイントに触れるとそこじゃないと掠れる声で言われた。
足を絡めて自ら腰を揺らしているのはきっと習性だろう。
きっとそれくらいこの行為に溺れているのだ。

早急に中を解しバスローブを脱ぎ捨てたアラタが先端を入口に押し当てる。

「も、焦らすな・・・」


涙の跡が残る顔に見上げられてアラタは何も言わずに腰を押し進めた。

*

気を失うほど身体を重ねた後、アラタがバスルームから出てくるとタマキがぼんやりと宙を見つめていた。
アラタの気配に気付くと片端を上げて笑った。

「アラタの言った通りかもしれない」
「何が?」
「焦らされた方が気持ちいいんだな」

ちらりとアラタを見上げた顔は再会したときのように欲に濡れている。
アラタは何も答えずに服を着はじめた。

「なあ、また抱いてくれよ」

お前も気持ちよかっただろ?
そう言って腰に巻き付いてくる腕を冷たく振り払った。

「次はないよ」
「・・・なんで?」
「もう僕の知ってるタマキちゃんじゃないもん」

きっちりと衣服を整えたアラタが身体ごとタマキを振り返った。

「カナエ君もそう思ってるんじゃない?」
「なっ・・・!」

固まってしまったタマキに構うことなくアラタは部屋を出た。

*

確かに行為の最中に知っているタマキを連想させるようなこともあった。
だけどあれはもうJ部隊にいたタマキとは全くの別人だ。

「タマキちゃん、さよなら」

ドアの向こうにいるタマキに向かって小さく呟いて、アラタは一人見知らぬ街の喧騒の中に消えた。

*

びっちタマキちゃんとそれを冷めた目で見ながら凌駕する大人アラタというイメージでした
タマキちゃんのびっち感もアラタの鬼畜感もあまり出ませんでした←

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