▽09/24 21:23

凄腕のスナイパーのくせに、本を読むときだけ眼鏡を掛けるということを知ったのはつい最近のことだった。
なぜそんなことを思ったかと言うと、今まさにカナエが眼鏡を掛けて本を読んでいるからだ。
ゆったりとした休日の午後、窓際に椅子を置いてカナエは熱心に文字を追っている。

(その姿が、妙に様になっているのが悔しい)

そんなカゲミツの心中を知らないカナエは音を立てずにページをめくった。
一体その小難しそうな本のどこに面白さを感じているというのだろうか。
ソファーの上でだらしなく座りながらパソコンを弄りながらカナエを見つめる。
キーボードに置かれた指はただそれを叩いて遊んでいるだけだ。
そんなことをぼんやりと考えているとカナエがふと顔を上げた。
ばちりと二人の視線が合わさる。
フッと微笑んだカナエはパタンと音を立てて本を閉じた。

「キスしてくれないの?」
「は?」
「あんなに熱の篭った目で見つめてきたくせに」

だた眼鏡を掛けている、それだけのせいでなんだかいつもと違うように見える。
そんなことを思っているとカナエが本を置いてカゲミツの手元のパソコンを指差した。

「それも使ってないみたいだし」

おいで、そう言った声は優しいのになぜか命令されているような錯覚に陥る。
カゲミツが答えに迷っていると、カナエが立ち上がって隣に腰を下ろした。
甘い声が耳をくすぐる。

「ねぇ、カゲミツ君」
「・・・それ、外してくれるなら」

一瞬きょとんとしたカナエだったがすぐに理解したらしくテーブルの上にかちゃりと眼鏡を置いた。
これでどうだと言わんばかりに笑みを向けてきたカナエはいつも通りだ。
恥ずかしさをグッと我慢してカゲミツは瞳を閉じた。

*

カナエの眼鏡姿に萌えるカゲミツが書きたかったはずなのにな・・・(´-`)

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