▽07/25 18:14

「おはようカゲミツ、大丈夫か?」

アラタやナオユキ、ユウトと話していると、タマキが近付いてきた。
嬉しいはずなのに、今は心がちくりと痛い。
曖昧にあぁと返事をすると、タマキの手が額に触れた。

「熱はもうないみたいだな」

よかったと微笑むタマキにぎこちない笑みで答える。

「今まで休んでいた分、頑張るから」

カゲミツはそう言ってタマキから離れた。

この前の言葉は本当なのだろうか。
でもタマキはまだカナエが好きなんじゃ。
でもそれはタマキに聞いたことじゃなく自分が勝手に思ってるだけじゃないか。
ぐるぐると頭の中で葛藤を繰り返す。
タマキをちらりと見ると、またカナエの方をじっと見つめている。
でもタマキは付き合おうと言った。
忘れるためかもしれないが、それで自分を選んでくれたのなら。
いろいろなモノは見えないフリをして、カゲミツはタマキと付き合うことを選んだ。

キヨタカが昼休みを告げて、食事をどうしようかと考えていると声を掛けられた。

「カゲミツ、大丈夫だった?」
「病人相手にあんなにメールを送るなよ、オミ」

カゲミツの言葉をさらりと無視し、よかったと笑うオミにため息をひとつ。

「一緒に食べに行かないか?」

俺のおごりだと付け加えられた言葉にそれもいいかと頷きかけたとき、タマキの言葉が遮った。

「カゲミツ、俺がおごるよ」

にっこりと微笑むタマキと涼しい顔でそれを見ているオミ。

「先に誘ったのは俺だよ、タマキ」
「カゲミツは俺の恋人だぞ」

その言葉にわずかに目を見開いたオミがカゲミツの顔を見る。
小さく頷いたその表情は、幸せそうには見えなかったけど。

「行こう」

腕を取られ、カゲミツはタマキと二人で出て行ってしまった。


「なんか、違和感」

タマキと付き合うことになったというのにカゲミツの妙に浮かない表情。
その理由を、オミはまだ知ることはなかった。

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