▽07/22 00:23

高熱のせいでワゴン車にこもること三日目。
ヒカルやトキオの看病のおかげで随分熱も治まった。
そして、ふとあの日のことが思い出される。

「俺たち付き合おうか」

タマキに抱かれることになってしまったけれど、それでもカゲミツは幸せだった。
ずっと思い続けたタマキと恋人同士になれたのだから。
高熱にうなされる頭で考えるのは、恋人となったタマキのことばかりだ。
今は何をしているかな、ご飯何食ったのかな、・・・俺のこと、心配してくれているかな。
ヒカルに確認したが、どうやらワゴン車には来てくれていないようだった。
優しい性格だから寝込んでいるカゲミツの邪魔になると思って見舞いに来なかったのかもしれない。
ならばせめてメールくらいは。
そう期待して待ち続けているものの、来るのはオミからのメールばかりだ。

「ヒカル・・・携帯見てくれ」
「もう何度目だよ・・・、あ、またオミからメールだ」
「またオミか」

返信もしていないのに何度も何度もメールを送ってくる。
肝心のタマキからのメールは来ないというのに。
仰向けの体制からごろりと横向きになる。
付き合おうかと言ったタマキの言葉をまた思い出して、泣きそうになった。
その言葉に本当に気持ちがあったのだろうか。
そう思い掛けて、思いたくなくて首を振った。

あの日から四日経った。
熱も治まり食事も喉を通るようになったカゲミツは仕事へと復帰した。
結局タマキは一度も顔を見せることもなくメールをくれることも、電話を掛けてくることもなかった。

「おはよう」
「おはよう、カゲミツ君大丈夫?」

ミーティングルームのドアを開くとみんなが口々に体調を気遣ってくれた。
部屋の中にタマキの姿を見つけたが、真っ先に近寄ってきたのはアラタだった。
次にユウトやナオユキが安心した表情で笑う。
タマキは自分のデスクに座って、視線はじゃれるカナエとレイを向いていた。
その顔を見て、カゲミツは気付いてしまった。

タマキは、まだカナエが好きなんだと。

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