▽03/26 13:08

それは珍しくカゲミツが先に眠っている夜のことだった。
カナエが寝る前に日課にしている聖書を読んでいると、目を覚ましたらしいカゲミツに名前を呼ばれた。

「カナエ、こっちに来い」
「どうしたの?」
「いいからこっち来いよ」

ムスッとした表情だけど、多分怒っている訳ではない。
まだ途中だったけれど栞を挟んで聖書を閉じた。
ブランケットを持ち上げて早く来いと目で訴えるカゲミツに従う。
電気を消してベッドの中に入ると、腕を取り強引に体を引き寄せてきた。
その指先は微かに震えているような気がする。
腕を掴む指がぎゅうっと力を込めた
どうしたのと聞いても多分答えてくれない。
珍しく甘えているらしいカゲミツの機嫌を損ねないように髪を撫でてやる。
安心させるように優しく何度も繰り返してやる。

しばらくすると落ち着いのか、腕を掴んでいた手を解いた。
ごろんと転がり、カゲミツは離れていった。

「カゲミツ君」
「なんだ」
「くっついてもいい?」

さっきまで自分が甘えていたくせに、は?と聞き返すなんてつれない。
だから了承を得ないままカゲミツを両腕で包み込んだ。

「寝れないだろ」
「カゲミツ君が悪いんだよ」

今日はカゲミツ君に触れてないと眠れない。
心地好い体温が近くにないと眠れない。
そう言うとカゲミツは黙り込んでしまった。
腕を解こうともせずに、じっと腕の中に収まっている。
こめかみにキスを落としてカナエは瞼を閉じた。

「おやすみ」

小さくそう告げるとカゲミツもその胸に頭を預けた。

*

元は
好きな人「甘えてもいいかな」
カナエ「どうしたの?」
好きな人「いいから甘えさせてよ」
好きな人はあなたの腕を取り強引に体を引き寄せてきた…
でした!

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