▽12/12 00:24

「お前がプレゼントを持ってくるなんて、気持ち悪いな」
「その言い方は酷いんじゃないですか?」

客が誰もいない深夜のバンプアップ。
平日の中日、もうこれ以上客は来ないだろうと店を閉めかけた時にキヨタカがやって来た。
目の前に腰掛けて、差し出された綺麗な小包にパチパチと目を瞬かせる。

「いつもお世話になってますから」

いつものようにブランデーを飲みながら、人の良い顔で笑う。
タマキはこの笑顔に騙されるんだろうなぁ、なんてグラスを拭きながら思った。
そしてふと、まだ若かった頃のキヨタカの姿を思い出す。
今や部隊を率いる隊長として立派になったけれど、キヨタカにだって新米の時期はあったのだ。
何でもさらりと完璧にこなしているように見えて、裏ではそれ相応の努力をしている。
今ではそんなこと微塵も感じさせないが、昔は若さ故それが見え隠れすることもあったものだ。
懐かしさに目を細めていると、キヨタカがニヤリと人の悪い笑みを浮かべた。

「俺に見とれましたか?」
「馬鹿言うな、大きくなったと思っただけだ」
「そろそろ子供扱いもやめて欲しいんですが」

そう言ってブランデーを流し込む姿が様になり過ぎている。
年を重ねて、大人の色気とやらをしっかりと身につけているようだ。

「それより、これ、開けてくれないんですか?」
「あぁ、開けさせてもらうよ」

拭いていたグラスを棚に戻し、綺麗なラッピングを丁寧に外していく。
一目見るだけで高級品だと分かるそれ。
包装紙の隙間から見えたロゴに、一瞬手が止まってしまった。

「これは、」
「ちゃんと開けてみて下さい」

キヨタカに急かされて恐る恐る箱を開けると、そこには想像通りシェーカーが入っていた。
バンプアップにあるどれよりも美しく輝いている。

「お前、こんな高級なものを・・・」
「これが買えるくらいに大人になったということですよ」

驚いたことに満足したのか、キヨタカはニコニコと笑っている。

「この店で使うには勿体ないくらいのものだな」
「なら俺の為だけに使って下さい」

キヨタカの声に視線を上げれば、さっきとは打って変わって真剣な表情で面食らってしまった。
女の子なら確実に落ちるだろう。
頭の冷静な部分でそんなことを考える。

「年上のオジサンに何を言っているんだ」
「俺だってあなたと同じだけ年を重ねました」

逃げた言葉はあっさりと道を塞がれて。

「まだまだ子供だと思っていたのにな」

小さく漏れた呟きに、キヨタカは子供みたいに勝ち誇った笑みを浮かべるのだった。

*

もうちょっとまろやかなきよ+ます風味になる予定でした
が、書いてみたら結構ガチな感じになっちゃいましたね

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