▽11/26 00:46

「お前んち、居心地良すぎだろ」
「なら一緒に住んでみるか?」
「うわ、気持ちわりぃ」

ワゴン車に夜食を持っていて数日後、本当にカゲミツは片手にゲームを持ってトキオの家を訪れた。
腕によりをかけて作った料理に舌鼓をうち、後片付けもそこそこに二人でゲームを始めた。
初めての協力プレイに時間も忘れ没頭し、気付けば日付はとうの昔に越えてしまっていた。

「すげー面白い!あいつらも買えばいいのにな」
「本当、でも俺はカゲミツと協力プレイ出来ただけでもよかったよ」
「またやろうぜ」

そう言うカゲミツにトキオも頷いて。
それからというものの、カゲミツは一週間に半分くらいはトキオの家に来るようになっていた。
美味しい食事に、たまに酒やつまみも作ってくれる。
ワゴン車とは比べものにならないくらい座り心地のよいソファーに身を預けゲームに没頭し、風呂まで貸してくれるのだ。
そりゃ入り浸ってしまっても仕方ない。
それにトキオも嫌な顔ひとつせずに迎えてくれる。
居心地が良すぎるのだ、トキオの家は。

「今日は帰る?泊まってもいいけど」
「や、今日は帰るわ」

満腹になって、風呂まで借りてゲームして。
最近はそのままトキオの家に泊まってしまうこともしばしばだった。
朝は朝食が出来る頃に起こされるので遅刻する心配もない。
今までの二人の関係からはとても考えられない。

ふわぁとあくびをしながら玄関を出て行くカゲミツをトキオが見送る。

「じゃあ明日な」
「おう、でも夜は用事があるからまた今度な」

えっ、と一瞬驚いた顔を見せたがカゲミツだったけど、そのまま何も言わずに帰って行った。
翌日、ミーティングルームで顔を合わせたときも普段通り。
そしてまたその翌日、カゲミツはいつもと同じようにトキオの家にやって来た。
食事を済ませゲームを一時間ほどやった後にカゲミツがおもむろに口を開いた。

「お前さ、彼女とかいねぇの?」
「え?」
「いや、モテんだろ」

顔を横に向けて目線を合わせようとしないままカゲミツは話を続ける。
気が利くし、料理も上手いしカッコイイ。
そこまで褒められるとくすぐったいものがあるけれど、トキオはニヤリと意地悪く笑う。

「彼女がいて欲しいの?」
「・・・なんでお前みたいな奴にいねぇのかなって思っただけだよ」

妙な沈黙のあと、言い訳するように早口で言った。
そんな様子を可愛らしく思って、今度は素直に笑顔を向ける。

「彼女がいたら、お前とこんなに遊んでないって」
「・・・そりゃそうだよな」

本人は無自覚かもしれないが、ホッと安堵した表情を見せた。
もう一回やろうぜという声は弾んでいるようにも聞こえる。
カゲミツは確実に自分を意識し始めた。
その証拠に顔を覗き込めば、ぷいと逸らされてしまう。
ちらりと目に入った耳が少しだけ赤い。
これは自分の思いが届くまでそう時間は掛からないだろう。
そう思いながらトキオは手に持ったゲームをしっかりと持ち直した。

*

トキオはしっかりリサーチして落としていくタイプだといいなと思います
カゲミツこれ好きなんだよね?とか言ってサッと好物を差し出す的な?←
そして至れり尽くせりな環境が心地良くなり、コイツといると楽しいとカゲミツに思わせればもうあとはずっとトキオのターン←

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