▽12/26 01:51

「こんな時間に何やってんの」
「お前こそ何やってんだよ」

ちょっと小腹が空いた夜半過ぎ。
ダウンを羽織ってふらりとコンビニまで来てみれば、同じくラフな格好をしたオミと鉢合わせた。
手にしたコンビニの袋からはちらりと某バランス栄養食が覗かせている。

「お腹が空いたから買いに来ただけだよ」
「やっぱこの時間は腹が減るよな」

じゃあとカゲミツは別れようとしたけれど、オミは当然のように後ろをついて来る。

「何だよ」
「せっかくカゲミツに会ったんだから、眠気覚ましに少し話していくことにするよ」
「人を眠気覚ましに使うな」

そんな軽口を叩きながら目当ての商品を手に取った。
確かにそろそろ眠たくなってくる時間だ。
オミと話すことによって、少しは頭がすっきりしたような気もする。
無事に会計をすませ、二人でコンビニを出た。

「しかし今日は寒いな」

ポケットに手を突っ込んでマフラーを巻き直すと、オミがとんでもないことを口走った。

「それって誘い文句?」
「・・・・・・は?」

唐突過ぎて一瞬何を言ったのか理解出来ない。
オミの顔を眺めてみたけれど、ふざけているようには見えない。

「寒いからあたためてっていう意味じゃないの?」
「ちげーよ、バカ。お前ん家あっちだろ」
「カゲミツが寒そうだから家まで送ってあげる」

そう言ってポケットから手を引っ張り出して無理矢理指を繋いだ。
ポケットよりも温かい人肌が心地好い。
でもあっさりと流されるのも癪で悪態をついた。

「誰かに見られたらどうするんだ」
「俺は構わないし、こんな時間に誰も歩いてないよ」

確かにコンビニまでの道中、一人もすれ違わなかったけど。
むすっと黙り込んだカゲミツにオミがニッコリと笑いかける。
繋いだ手を子供みたいに大袈裟に揺らしながら。

「デートみたいだ」
「勝手に言ってろ」

ぎゅっと力を込めた指にオミが苦笑する。
他愛もない話をしながら、二人は家路についた。



「なんで靴脱ごうとしてんだ」
「せっかく寒い中送ってきたんだから、お茶くらい出してくれてもいいじゃん」

至極迷惑そうな顔で言ってみても、オミはへらりと笑って部屋に上がり込んできた。
勝手にどかりと座り込んで寒いなぁなんて言いながら手を摩っている。

「茶は出すから、飲んだら帰れよ!」
「わかってるって」

そんなやり取りをした帰り際、開いたドアの前で振り返ったオミがぽつりと呟いた。

「本当、今日は寒いね」
「あぁ」
「俺はカゲミツと一緒だとあたたかくなれるんだ」

ふざけてるようには見えなくて、黙ってオミの顔を見つめる。

「だからさ、俺をあたためてくれない?」

いつもの強引さとは違う言い方に、カゲミツの心がぐらりと揺れる。
窺うような瞳で、優しく手を取らないで欲しい。
そのあたたかさが欲しい気持ちがどんどん膨らんでしまう。

「カゲミツ・・・」

優しく名前を呼ばれ、繋がった腕を勢いよく引っ張ってドアを閉めた。

*

最初はもっと飄々と頂いちゃうオミさんとツンデレカゲミツを妄想していたんですけどね←

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