▽11/03 10:11

ナイツオブラウンドが崩壊して、オミやレイ、そしてカナエがJ部隊に加わった。
一段と賑やかになったミーティングルームをぐるりと見渡せば、当然のように隣に座るカナエとタマキが目に入った。
楽しそうに笑うタマキの顔は幸せそうで、それに答えるカナエも幸せそうだ。
そんな二人を見て、どうしようもない気分になってこっそりと息を吐き出す。
こうなることなんて分かりきっていた。
自分が入る余地がなんてある訳がない。
答えを聞くまでもなく、返事はノーだ。
それでも、それでも好きだと思ってしまうのだから仕方がない。
忘れようと思っても、そんなに簡単にこの気持ちはなくならない。
幸せそうな二人を遠くから見守ってやるのが俺の役目だ。
頭では分かっているのに、ついていかない心がモヤモヤとしてしまう。
また重い溜め息を吐き出しそうになってしまい、ペットボトルの水と一緒に腹の中に流し込んだ。

「今日の夕食は俺が作っておくね」
「悪い、ありがとう」

二人の会話を聞いて、二人は一緒に暮らしているんだと当たり前のことをぼんやりと思う。
公認の仲だとはいえ、ここまで見せ付けられると心が痛む。
なるべく意識の外へと追いやってパソコンに向かっていると、いつの間にかタマキと二人っきりになってしまっていた。
手書きで報告書を作るタマキのペンの音が部屋中に響く。
真剣な表情もいい、そう思うと同時に込み上げてきた辛さに顔を背けた。

お互い無言のまま、一時間が過ぎた。
出来たと小さな声を上げたタマキが音を立てないように帰り支度を整える。
俺が仕事に集中していると思い、邪魔しないようにと気を遣ってくれたのだろう。
そんなところも、と考えてやめた。
考えたところで、それを本人に伝えることはないのだから。

「俺はもう帰るけど、まだやるのか?」

遠慮がちに声を掛けられて顔を上げた。
もう後は帰るだけといったところで伺うようにこちらを見ている。
別にもう仕事は残っていなかったけれど、一緒に部屋を出る気にもなれなかった。

「ああ、もうちょっと調べたいことがある」

そう告げると、タマキは頑張り過ぎるなよと苦笑いを浮かべた。
こんなにがむしゃらに仕事に打ち込む理由は、目の前の自分だなんてきっと気付いていない。
じゃあなと言ってドアノブに手を掛けたタマキの名前を呼ぶ。
もうそれは、反射的だった。

「どうしたんだ?」

振り向いたタマキには答えず立ち上がり近付く。
無防備に見上げてくる顔が切なくて、思いっきり両手を広げて包み込んだ。

「カ、カゲミツ・・・!」
「もう二度とこんなことしねぇから、だからあともう少しだけ」

タマキの肩に顔を乗せると、やんわりと押し返された。
控え目に、だけど確実に拒絶が含まれている。

「タマキ」
「こんなことしたって、傷付くだけだろ」

タマキの言うことは間違っていない、だけど。
何も返せずにいると、さっきより強い力で身体を押し返された。
はっきりとした拒絶に、回していた腕をだらりとおろす。

「俺はカゲミツの気持ちには答えられない」

ごめんと小さな声で呟いてタマキは部屋を出て行った。
一人取り残された部屋で、壁にもたれ掛かって腰をおろした。
込み上げてくる嗚咽を堪えもせずに、肩を震わせる。
静まり返った部屋に、いつまでも寂しい泣き声が響いていた。

*

タマキって結構情に流されそうだと思うんですけど、こういう場合はっきりと断りそうだなと思います
個人的に追憶カゲミツグッドエンドのやっと返事をくれたな的な台詞が凄く引っ掛かるんです
いろいろあったけどカゲミツの告白は放置しっぱなし!?っていう感じが、ね←
まぁその話は置いときまして、部屋で一人で泣いてるカゲミツは萌えるなぁと思ったお話でした、以上!

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