▽07/11 19:59
カゲミツと一緒に暮らし始めて一ヶ月。
最初はお互い探り合いだったこの生活も随分と慣れてきた。
寝る前の日課になったやけどしそうなホットミルクを手渡す。
熱いから気をつけて、なんて言わなくたってもう分かっている。
「お前も早く風呂に入れよ」
ふーふーと息を吹きかける仕草が子供っぽくて可愛い。
その姿を眺めているとカゲミツに声を掛けられた。
はだ温度のお風呂に保ってくれているであろうお湯が冷めてはいけない。
軽く返事をし、バスルームへと向かった。
風呂から上がるとカゲミツはソファーの上で体育座りでまだホットミルクを飲んでいた。
適当に髪を乾かしカゲミツの隣に距離を置かずに座る。
一緒に住み始めた当初は眉を寄せたその行為も、今ではすっかり慣れたようだ。
洗い立ての金髪に指を通すとさらさらで、自分と同じシャンプーの香りがして嬉しくなった。
「アレ、やるぞ」
何度もカゲミツの髪を触っていると、カゲミツが足を下ろした。
その言葉の意味を理解しトキオも床に座り込む。
まったりぎみなストレッチも寝る前の二人の日課となっていた。
戦闘に参加しないにしてもカゲミツの体は硬過ぎた。
両足を広げたカゲミツの背中をゆっくりと押してやると、気持ち良さそうな声を出した。
「だいぶ軟らかくなっただろ?」
得意げに笑うカゲミツに言った通りだろ?と笑う。
最初は嫌々だったストレッチも日に日に体が軟らかくなるのが嬉しいらしい。
今では自分からやろうと言い出すまでになった。
「軟らかい方がするとき楽だしな」
耳元で囁いてやるとカゲミツの顔が真っ赤に染まった。
「なっ・・・!」
初な反応はいつまで経っても少しも変わらない。
起き上がろうとするカゲミツの背中にぐっと体重をのせた。
「今から試してみる?」
冗談の中に少しの本音を混ぜて訊ねてみる。
「嫌、だ」
カゲミツは首だけ振り返り睨むような誘うような目で見てくる。
冗談のつもりだったのに悪戯しちゃおうかな、と思ってやめる。
明日も朝から仕事だしもう寝る準備は万端だ。
カゲミツからよいしょと離れ背中を抱き起こす。
するの、しないのと目線を彷徨わせるカゲミツに向かい合って背中をさする。
「また今度な」
ウィンクして立ち上がるとカゲミツも立ち上がった。
大人二人が並んでもまだ余るほどのダブルベッドに寝転がる。
寝る前はいつもいろいろな話をする。
まるで過剰演技の読み聞かせのような話も、カゲミツはいつも黙って聞いてくれた。
へたくそな子守歌のような話を聞きながら、今日もカゲミツはいつも眠りにつく。
「おやすみ」
柔らかな金髪にキスをひとつ落としてトキオも眠りについた。
byAstral slumbar様(安らかな眠りにつくための5つのStep)
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