▽11/10 00:40

いつもの黒いコートに身を包んだオミに手を引かれ、暗い夜道を人目を避けるように歩く。
テロリストのナイツオブラウンドのリーダーのオミと、それを追う警察側のカゲミツと。
月の光に反射してしまう金髪は闇色のパーカーの中に隠して、二人黙って目的地を目指した。

慣れた手つきで鍵を受け取り、相変わらず一言も話さないまま部屋に入った。
この関係は、自分達以外には決して知られてはいけない関係だから。
部屋に入ってパーカーを取り払った。
オミも黒いコートをパサリとソファーに投げ捨てた。

「ちょっと痩せたんじゃない?」
「最近食欲がねぇんだ」
「駄目だよ、ちゃんと食べなきゃ」

そう言いながらオミは手を取りベッドへと誘う。
されるがままにベッドに縫い付けられて、上から被さってきたオミのキスを受け取る。
こめかみから顔のラインをなぞっておりていく唇がくすぐったい。
髪を掬いあげて、そこにも唇を落としながら片方の手がシャツの中に潜り込んだ。
さわさわと平坦な肌の上を長い指が滑っていく。

「まぁ痩せてるのもそれはそれでいいんだけどね」
「じゃあいいじゃねっ、か」

これから始まる行為に似合わない話をしていると、ふいに素肌を滑る手が胸に触れた。
それだけで息を詰めてしまうなんて、まるで期待しているみたいじゃないか。
恥ずかしくなって顔を背けると、オミのクスクスと笑う声が近くに聞こえた。

「でも痩せ過ぎて倒れられたら困るからね」

耳にかかる髪をかきあげて、息を吹き込まれて身体がぞくりと震える。
そのままくちゅりと音を立てて這う舌が理性をどんどんと溶かしていく。
同時に胸を弄られ、久し振りの刺激に身体が急速に熱を持つのがわかる。
片手で束ねている細い手首をぺろりと舐めて軽く歯を立てた。

「痕、残すなよ」
「わかってる」

すんなりと離れたオミに妙な心細さを感じるけれど仕方ない。
喉元を軽く食む感覚に変な興奮を煽られながら目を閉じた。
めくり上げられたシャツのせいで晒された素肌にオミの熱い吐息がかかる。
それすらも熱を上げる要因になってしまうのだからたまらない。
つんとした突起を前触れもなく口に含まれて、思わず声を上げてしまった。

「ちゃんと感じてくれてるんだね」

片方には恭しくちゅっと唇を落とし、もう片方は指で激しい刺激を与えて。
慣らされた身体は敏感にその快感を感じ取ってしまう。
自分の声だと思いたくないような声が、口をついて出てしまう。
べろべろと舌で舐めながらオミの手がうっすらとジーパンの上を滑る。
器用に片手で前を割って下着ごと全て剥ぎ取ってしまった。
中心を隠そうともぞもぞ動かした足をオミが軽く制した。
ぎろり、琥珀色の瞳がその手を睨む。

「お前も脱げ」

人の熱を散々高めておきながら、その張本人はまだコートしか脱いでいない。
なんだか悔しくなって言ってみたら可笑しそうにクスクスと笑うだけだ。

「そうだね、俺も脱がなきゃね」

そう言って男らしくバサバサと自らの服を脱ぎ捨てていく。
脱がされて恥ずかしがっている自分とは大違いだ。
次は自分で脱ごう、そう考えているとクイと顎を掴まれた。

「何考えてるの?」
「次からは自分で脱ぐ」
「次があれば、ね」

オミのその一言で一気に現実に引き戻された。
この僅かな時間以外は敵同士なのだ。
次もまた会えるなんて約束は出来ない。
何も言えず唇を噛み締めていると、オミの手がすっと脇腹を撫でた。

「俺達には時間があまりないんだ」

分かっているだろ?と問い掛けてくる目線に頷き、押し寄せる快感に目を閉じた。


心地好い倦怠感にまどろんでいると、無機質な電子音が部屋に響き渡った。
備え付けの時計を見遣るともう二人でいる時間は終わりだ。
だるい身体を何とか動かし服を着る。
先に着替え終わったオミは既に黒いコートに身を包み、窓際でタバコを吸っていた。

「そろそろ出るぞ」

そう声を掛けてもオミは振り返らない。
もう一度、今度は強く名前を呼ぶとようやく振り返った。

「ねぇ、俺達も逃げちゃおうよ」

振り返ったオミの顔は妙に儚くて、何だか胸がぎゅっと締め付けられる思いだ。
しかし逃げたところで結末なんて見えきっている。
きっとあの二人のようになるに決まっている。
だから意地悪く質問で返した。

「それで俺達は幸せになれるのか?」

一瞬の間を置いてオミが乾いた笑いをこぼした。
やはり馬鹿なことを言ったと後悔していると、ツカツカと目の前にやってきた。
黒いコートがふわりと浮いたかと思えば、ひざまずいてこちらを見上げている。
その綺麗な所作はさすが華族の人間だと思っていると手を取られた。
まるでおとぎ話に出てくる王子様のようだ。
そのまま手の甲に唇を落としてオミは笑った。

「もちろん、そのつもりだ」

その笑顔があまりにも美しくて、なぜだか無性に泣きたくなってしまった。

*

二人がこんな感じで逢瀬してたら萌えるなー的な、ね?←
最後カゲミツはオミさんについていくもよし、やっぱりダメだと断るもよしだと思います
個人的にはどっちでも萌えます←

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