▽07/11 01:46

誘われるように寄せた唇は、想像していたよりも柔らかかった。
あまりの気持ちの良さに夢中でカゲミツの口内を味わう。
キスがこんなにも気持ちがいいものだなんて、知らなかった。

ん、と苦しそうに寄せられた眉が見えて口を離した。
唾液で濡れた唇がこれからの行為を連想させて、背中にぞくりとしものが走る。
カゲミツと呼んだ声が掠れていて情けない。
たったひとつのキスだけで、こんなにも興奮してしまうなんて。
潤んだカゲミツの目に余計煽られる。
琥珀色の目を滲ませているのが、自分のせいじゃないのが悲しいけど。

もう一度名前を呼んで額にキスを落とす。
今までずっと触れたかったものが、目の前にある。
頬、まぶた、顎、耳、あらゆるところにキスを落としていく。
その度にふるりと震え服の裾を引っ張ってくるカゲミツが愛しくて仕方ない。
初めてであろうこれからの行為を、出来るだけ怖がらせず痛くないようにとゆっくり距離を縮めていく。
体中にキスをしながらカゲミツのツナギに手を掛け、ゆっくりと肩から背中を撫でるように脱がしていく。
すべすべした肌が触り心地がよくずっと触っていたい。
ツナギから両腕を抜き、中に着ていたTシャツを胸まで捲くり上げる。
ごくり、喉が鳴った。

白い肌に赤い花びらがとてもよく映える。
夢中になってあちこちに散らしていると、頭上から焦れたように名前を呼ばれた。
おへその上あたりに吸い付きながら上目遣いでカゲミツを見ると、真っ赤な目が睨んできた。
早く、掠れる声で急かされる。
服の上から少し膨らんだソコをゆるりと撫でると、カゲミツが声を上げた。
耐えるように上げられた声に体が熱くなるの感じた。
そのまま柔らかく揉みつつ、ツナギからカゲミツの体を抜いていく。

「カゲミツ、気持ちいい?」

望んでやる行為じゃないと自覚していても、つい聞いてしまった。
緩く首を振るのは否定か快楽か。
ツナギをカゲミツから剥ぎ取り、いよいよ下着に手を掛けた。

「オミ・・・」

潤んだ瞳にどうしたのかと問うてもただぼんやりとした目線と絡まるだけだ。

「いくよ・・・」

覚悟を決めた呟きには、何も返事をしてくれなかった。

下着を脱がし、カゲミツの熱い部分に直接触れる。
それだけでそこは敏感に反応し固さを増した。
最初ゆっくりとそこを刺激する。
声を押し殺し表情を隠そうとする仕草にぞくぞくする。
本当は声を聞きたいし、自分の手で感じるカゲミツを見たいけれど。
徐々に擦り上げるスピードを上げると、カゲミツから甘い声が洩れた。
そのまま一気に頂点まで持っていく。
一際大きい声を出してどろりとした白濁の液体を吐き出した。
その瞬間、服を握り締めるなんて反則だ。
肩で息をするカゲミツに乗り上げながら服を脱ぐ。
口を開く度にちらりと覗く赤い舌がとても魅力的で、苦しそうなのもお構いなしに自分のものを絡める。
どんどんと胸を叩かれるまで、じっくりと味わう。
これが最初で最後なんだから。
カゲミツの為だと言い聞かせ我慢していたれど、少しくらいは許してほしい。
カゲミツのものでベトベトになった手で割れ目をなぞる。
ぶるりとカゲミツの肩が震えた。

「怖い?」

でもやめようかとは聞かない。
ここまで来てやめようとは言えなかった。
カゲミツの為だと言い訳をしていたが、それは嘘だ。
カゲミツの言葉を自分のいいように解釈したなんて分かってる。
その証拠に、カゲミツが小さく頷いたのが見えた。
ごめん、小さく呟いた言葉はカゲミツの呻き声に消えた。
ゆっくり指を押し進めてカゲミツのいいところを探る。
痛そうな表情は申し訳ない気持ちと同時にぞくぞくとする気持ちが混ざり合う。
ある一点を掠めた瞬間、反応が変わった。

「あっ・・・!」

自分でも予想していなかった快感に目を大きく見開いている。
集中的にそこを押すと、カゲミツが甘い声を上げた。

「ここが気持ちいいの?」

そんな問い掛けもまるで聞こえていないようだ。
ただ襲い掛かる快感に眉をひそめ必死で耐えている。
指を増やしても最早痛みは感じていないようだった。

充分に解れたそこに自身を宛がう。
今までとは違う感覚にカゲミツが首を起こした。
カゲミツの両足を持ち上げて、一気に中に押し入る。
苦しそうな声が聞こえたがそれどころではなかった。
少しでも気を抜けば自分が達してしまいそうだ。
大きく息を吸い込んでからゆっくりと律動を始める。
最初は苦しそうだった表情も今は動きに合わせて腰を揺らしている。
殺していた声も隠すことなくひっきりなしに上げている。
カゲミツとひとつになれた。
快感はどんどんと上がってくるのに、感情が追い付かない。
腰を打ち付ける度にカゲミツが喘ぎ声を上げる。
興奮するはずの光景に泣きたくなった。



「お風呂まで一緒に行こうか?」
「・・・いや、いい」

腰を摩るカゲミツに声を掛けると断られた。
それもそうだ。好きでもない男に抱かれたのだから。
二人の間に流れる沈黙はどんよりとして重い。
腰、大丈夫という問い掛けは風呂場のドアの音に掻き消された。
慰めるつもりがお互い余計傷付いてしまうなんて。
こんなはずじゃなかったのにと呟いた言葉は一人きりのリビングに消えた。

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