▽08/14 18:18

今日は帝都でも最大規模を誇る花火大会だ。
カゲミツは行く気がなかったようだけど、どうしてもと頼んで二人で見に行くことになった。
待ち合わせはシンジュクの駅前。
お互い浴衣を着ようと言ったものの、着てくれるだろうか。
心配と期待でどきどきさせていると、待ち合わせ時刻より5分も早くカゲミツはやって来た。

「・・・着てくれたんだ」
「お前が着ろって言ったんだろ」

ぷいっとそっぽを向くのはいつも通りだけど、見慣れない浴衣姿をまじまじと見つめてしまう。

「じろじろ見るなよ」
「いいじゃん、良く似合ってる」

藍色のオーソドックスな浴衣に身を包み、ちらりと見える白い肌がいつも以上に艶やかだ。
行こうかと手を差し出したらぺちんと払われてしまったけれど、二人並んで歩き出した。

二人とも花火大会に来るなんて初めての経験だ。
人が多いとぼやきながらも屋台を見たりと楽しそうにしている。
オミはやきそば、カゲミツはタコ焼きを買って道端に腰をおろした。

「そろそろ時間だ」
「どんな風に見えるんだろうね」

もぐもぐとお互いに頬張っていると、空に一筋の光が昇っていった。
あ、と声を出すと同時にバンッと大きな音がして大輪の花火が咲いた。

「うっわ・・・」
「凄い迫力だね」

間近で上がった花火の大きさと体に響く大きな音。
想像以上の迫力にポカンと口を開けたまま魅入ってしまう。
バンッバンッと続けて花火は上がる。
周りも同じようにただ空を見上げている。
ちらりと横を見るとカゲミツも真剣に花火を見ている。
花火に照らされた横顔がいつもと違って見えて、小さく名前を呼んだ。

「カゲミツ」
「な、っ・・・!」

うちわで口元を隠し、カゲミツのものに自分の唇を押し当てた。

「バカ、誰かに見られたら、」
「みんな花火に夢中だから大丈夫だよ」

文句を言うカゲミツに言葉に被せる。
実際誰も自分達のことなんて見ていない。
肩が触れ合うくらいに距離を詰める。

「今日は来てくれてありがと」
「・・・俺の方こそ、ありがと」

素直に出て来たカゲミツの言葉にオミが驚く。
照れたのか顔が真っ赤だ。
だからもう一度、うちわに隠れてお互いの唇を重ねた。

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