▽08/21 00:10

トントントントンと規則の良い音、とは程遠い不規則な音でカゲミツは目を覚ました。
鼻をくすぐる香りはどこか焦げ臭い。
この家にはカゲミツしか住んでいない。
まだすっきりしない頭でキッチンへと向かった。

「痛ッ」

キッチンを覗き込んだ瞬間に聞こえる声。
コンロの中からはもくもくと灰色の煙が上がっていて、そこにいるはずのない銀髪も霞んでしまった。

「何やってんだ!」

慌ててコンロを開くと中の元は魚だったであろうものは、見るも無惨な黒焦げ。
朝から一体何事だとカゲミツは頭を抱えてうなだれた。

「おはようカゲミツ、もう少し寝てても良かったんだぞ?」

包丁で切ってしまったらしい指をぺろぺろと舐めながらレイが笑う。
何をしている、っていうかどうやってここに入った?
聞きたいことは山ほどあるが、問い質す気力もなかった。

「・・・何やってるんだ?」
「カゲミツが朝飯食わないって聞いたから、作ってやろうと思って」

エプロン姿で嬉しそうに抱き着いて言うけれど、魚は黒焦げ、まな板の上は野菜が散乱し割れた卵が流しの中にぽつんと取り残されている。
正直、これだと自分でやった方が幾分かマシだ。
しかしレイのニコニコと笑った顔を見ると、邪険になんて扱えない。

「ありがとな、でもどうやってここに入ったんだ?」
「こんな鍵を開けるくらい朝飯前だ!」

えっへんと胸を張ったレイにこっそりと溜め息を吐き出す。
ちらりと時計を見るともうそろそろ家を出なければいけない。
片付けは後回しだなと頭の中で計算する。

「せっかく作ってくれたけど、もう出なきゃいけない時間だ」
「ホントだ!明日はもうちょっと早く来るから」

明日も来るつもりなのかと出かかった言葉を慌てて飲み込む。
結局のところ、カゲミツはレイに甘いのだ。

「とりあえず、行くぞ」

レイの背中を押して、玄関へと向かう。
そしてそこで派手に壊された玄関を見て言葉を失ったときに、名前を呼ぶ声が聞こえた。


「カゲミツ、起きろ!朝だぞ!」

うーんと唸って目をこする。
あぁ、なんだ夢か。
ゆっくりとまぶたを開くと、ニッコリと笑った赤い瞳があった。

「おはようカゲミツ、朝飯作りに来たぞ」

さっさと着替えて顔洗えよ!と告げて出て行ったレイを見て、カゲミツは自分の頬をつねった。

「これってデジャヴュ?」

背筋がさーっと寒くなるのを感じて、ベッドから飛び起きた。

*

前のレイカゲを読んでなくても大丈夫ですが、前の話ありきな感じで書いてます
レイって一度懐くと大好きオーラが爆発したら可愛いのになー
そして無邪気が度を通り越して困るレベルなら更に可愛いのになー
玄関ぶち破って来ちゃいましたって言っても、レイなら許されると思うのです←
そんな妄想が爆発しました、どっかーん!

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