▽08/31 00:42

「お月見しようと思うんだけど、どう?」

ニッと笑った顔が妙に子供っぽい。
そういえばお月見なんて今までのやったことないなと考えて頷いた。
素直に頷くのは恥ずかしくて、口では面倒くせぇなんて言ってしまったけど。
じゃあ決まりな、とトキオが笑ってくれたから、きっと気持ちは察してくれたんだと思う。

そんな訳でトキオの家に行く日がやってきた。
適当に月見に合いそうな酒を買ってから家に向かった。
オートロックを自分で解除して最上階にある部屋のインターホンを鳴らす。

「おーいらっ、しゃい」

カゲミツの姿を見たトキオが言葉を詰まらせた。
素早く上から下に視線を動かしてから目を逸らした。

「変、か?」
「いや、似合ってる。っていうか似合い過ぎてマトモに見れない」
「バカ、何言ってんだよ」

下駄を脱いで部屋に上がる。
と、トキオにきつく抱きしめられてしまった。

「な、んだよ、トキオ!」

カゲミツが止めようと声を上げても力は緩まない。
それどころか強引に唇を重ねてきた。
最初から噛み付くような激しいキスだ。
身をよじって逃げようとしても上手くいかない。
歯列をなぞり舌を絡めた後軽く吸われて、背筋がぶるりと震えた。
快感のせいで身体に力が入らない。
目尻にうっすらと涙が浮かんでようやくトキオは解放してくれた。
お月見だからとせっかく着た浴衣が、散々動いたせいでだらしなくはだけかけている。
壁に身体を預け、肩で息をしながら唾液まみれの口元を拭う。

「何だよ、いきなりこんなとこで」

涙目で睨まれたって、余計に煽るだけなのに。
そんなトキオの気持ちを知らずに、カゲミツは見上げてくる。
胸元が大きくはだけていて、白い肌に前回の跡が薄く残っていて。
これ以上は見ていられないとトキオは目を逸らした。
これ以上こんな姿を見ていて、平静でいられるほど大人ではない。
しかしカゲミツはそんなトキオに気付かない。

「人の話を聞けよ」

シャツの襟を引っ張って強制的に視線をカゲミツの方に戻す。

「お前がなんか嬉しそうだったから風情を出そうと思って来たらなんだよ、これは!」

ブツブツとカゲミツが小言も耳に入らない。

(俺はちゃんとやめようとした、カゲミツが誘ってきたんだ)

誰に言うでもなく心の中で言い訳をして、カゲミツに向き直った。

「そんな格好されたら、俺、我慢出来ないから」

言われて初めてカゲミツが自分の状況に気が付いた。
が、時既に遅しだ。
手首を掴まれ、ベッドルームに連れ込まれる。

「ちょ、トキオ、お月見は!?」
「今はカゲミツだけを見ていたい」
「バ、カッ・・・」


結局お月見用にと買っていた酒は開封されることなく、数日後にキヨタカとヒカルが飲み干してしまったそうだ。

*

これはやりたい!と思いながらなかなか進まず今になってしまいました
お月見って浴衣のイメージなんですけど、実際のところどうなんですかね?
お題見たときにえろになりそうと思いながら、ここで力尽きてしまいました

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